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トップになる人の営業習慣~営業コンサル...

トップになる人の営業習慣~営業コンサルタント菊原智明氏に聞く~

リフォームセールスマガジン (2015年2月号) 6~7P
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リフォームセールスマガジン

営業成績が上がらないと悩んでいる人は、普段何気なく行っているほんの小さな仕事習慣を見直してみよう。
ヒントは、大手ハウスメーカーの営業マン時代、営業社員約600名の中で4年間連続MVP賞を獲得した営業コンサルタントの菊原智明さんが、当時実践していた仕事習慣だ。

「あなたにお願いしたい」と言われるほんの小さな営業習慣

営業コンサルタント 菊原智明氏

 

営業コンサルタント 菊原智明氏

《プロフィール》
 営業サポート・コンサルティング(株)代表。群馬県高崎市生まれ。大手ハウスメーカーの営業マン時代、7年間クビ寸前のダメ営業マンと4年間のトップセールスマンを経験。2006年に独立し、経営者や営業マン向けのコンサルティング業務を行っている。年間に行う講演会の回数は90回以上にのぼり、「営業力検定」が取得できる営業通信講座のクライアント数は卒業生も含め既に750人を超えている。

クビ寸前の営業マン時代

 大学卒業後、大手ハウスメーカーに入社し新築営業の世界へ入ったものの、7年もの間クビ寸前の苦しい営業マン時代を過ごした営業コンサルタントの菊原智明さん。

 「半年間受注が0棟の時もありました。当時は会社の営業研修で叩き込まれた営業ノウハウ、できる先輩営業マンのトークやパフォーマンスを実践していましたが、どうもうまくいかない。入社8年目にしてやっと"営業マンとはこうでなければならない"という洗脳から解かれ、自分なりの営業スタイルを見つけることができました」と話す。

 当時菊原さんの周囲にいる優秀な営業マンは、コミュニケーション能力に長けた天才肌の人ばかりだった。

 「例えば一般家庭が夕食の準備をしている18時頃を狙って訪問することをアドバイスされるんです。一緒に飯さえ食べれば契約をもらえるからと。その他にも、

 "家の話はするな"とか、"とりあえず一緒に酒を飲め"とか、強引で変な売り方をしていたと思います」展示場への来場者にも間違ったアプローチをしていた。

 「自社商品のメリットを長々と説明したり、次回のアポが取れるまでしつこく接客し続けました。お客様からも当然"早く逃げなきゃ"と怖がられてしまいます。後日そのお客様を訪問するとシャットアウトされてしまうのです」

8年目で営業のトップに

 菊原さんの営業成績が好転したのは入社8年目だ。あることをきっかけに、営業スタイルと仕事の習慣を見直したことで、毎年3~4棟だった受注実績が8年目には16棟、以降毎年受注棟数を伸ばし11年目には21棟、全国に600いる営業マンの中で4年連続トップセールスに輝いた。

 そのきっかけとなったのが、自宅の新築だ。

 「社内で回覧されるお客様からのクレーム事例が、自分が家を建てる立場になって初めて"役に立つ、面白い"と感じたんです」

 そこに書かれていたクレーム内容は様々だ。

 「例えばパソコンまわりのコンセントが足りなかったとか、トイレの窓から隣の家のリビングが見えてしまったとか、営業マンの説明や確認不足で起きてしまうようなものが沢山ありました。これが自分が家を建てる際にとても役立ったのです。何回も読み込みましたし、家づくりを検討している方は参考にしたいに決まっていると確信しました」

 菊原さんは早速、そのクレーム内容を一つずつ掲載した営業レターを手作り。展示場の来場者やこれまで接客してきた顧客リスト約180件をかき集め、90件は訪問で手渡し、残りの90件は郵送で継続的に送り続けることにした。最初の月は印象付けるため毎週、翌月から月に1回お役立ち情報を掲載した営業レターを届けていった。営業レターには、自分を思い出してもらい印象付けるため、顔写真や自身のキャッチコピーを一言添えるなどの工夫も。

 反応はすぐにあった。スタートして1~2カ月で、問い合わせ客や展示場への再来場客が後を絶たない。

 「そこで私はあれっ?と目が覚めました。営業レターで反応があったのは、郵送で送った方のみだったのです。中には、私が送った何枚かの営業レターを自らファイリングし、私を目当てに来場してくださった方もいました」

強引なトーク迷惑な訪問を見直す

 自宅の新築をきっかけに始めた営業レターが、これまで"営業マンとはこうでなければならない"という思い込みや習慣を見直す機会になった。

 「これまでは、お客様に振り向いて頂くため、訪問活動や営業トーク、いかに良い提案と見積りを出すかに力を入れていました。私の営業スタイルは全てお客様の方にベクトルが向いていたのです。ところが営業レターで定期的に接触していると、自然とお客様の方から私を必要としてくださるようになりました。手紙でお役立ち情報を提供するだけで、何もしないでもお客様から声をかけてくださる形を作ることに成功したのです」

 菊原さんは営業レターをきっかけに、初回訪問のアプローチや商談中のトーク、顧客とのコミュニケーション方法などを1から見直した。

 「訪問営業一つとっても、夕方の忙しい時にアポなしで突然ピンポンを鳴らされたら、自分が客の立場だったら良い印象を持たないということに気が付いたのです」

 これまで顧客を追いかけ説得し、どうすれば振り向いてもらえるかだけを考えていた営業スタイルを見直し、いかにして「この人に担当してもらいたい」と顧客から思ってもらえる営業マンになれるのかを目指すようになった。

人間は変わらない習慣を変えただけ

 「営業活動がうまくいかないと、常に自信がなく、自分には価値がないと思うようになるんです。ところが営業レターをはじめとして、これまで当たり前に実践していた習慣を見直すことで、営業=悪いことというイメージがなくなりました。自分はお役立ち情報を提供するという、どの営業マンもしていない、良いことをしているんだと自信が生まれ、良いメンタルでいられるようになったのです。ダメ営業マンからトップセールスになりましたが、私という人間自体は何も変わらないのです。私はただ習慣を変えただけなんです」

 強引に売りつけたり、言葉巧みにセールストークを展開したりする必要はゼロだ。

 顧客から「この人にお願いしたい」と思ってもらえるような、自分に合った営業スタイルを身に付けよう。


この記事は、
リフォーム営業マンを応援するビジネス誌 リフォームセールスマガジンから抜粋しました。
オンライン書店「リフォームブックス」で購入できます。

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