同じリフォーム営業でも、新人・中堅・ベテランと、営業歴によって「クリアしたい課題」は違うもの。
今回は特別編として、現場監督の大ベテラン・伊賀庸さんに、施工管理の立場から、営業にも役立つスキルアップ術を聞いた。
ササキハウジングカンパニー(青森県八戸市)
わが家のリノベ 設計部 伊賀 庸さん(42)
大学で建築工学を学び、卒業後は青森県三沢市のゼネコンに就職し17年間現場監督として勤務。管理職になりマネジメント業務の比重が増えてきたことから、顧客と直接接する機会が激減し、改めて仕事のやりがいについて考えるきっかけとなった。
その後、もう一度現場に出て顧客と接する仕事がしたいと、地元八戸市のササキハウジングカンパニーに2022年1月に転職。現在は設計部に所属し、主にリノベーション事業において、施工管理の業務を担っている。1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士の資格を所持
建築業界歴20年目のベテラン
【過去 課題は?どう解決した?】
早く木造建築の知識を身に付けたい!
木造建築独特の
部材名や尺貫法に戸惑う
前職の建設会社では、公共・民間問わず鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物や設備改修案件が多く、木造の現場は数件程度しか経験したことがありませんでした。
転職して最初の頃は、木造建築独特の部材名称や「尺」や「寸」いわゆる「尺貫法」による寸法が大工さんの中ではメインに使われていたため、メートル法への換算が追い付かず少し戸惑いました。
まずは木造建築の本を買って独学
そして現場で大工さんに質問
木造建築の各部分の名称については、本を購入して勉強しました。それでもわからない時は、現場で実物を見ながら大工さんに教えてもらいました。
同じ建物でも鉄筋コンクリート造・鉄骨造と木造では、工法や部材の種類・名称・寸法など、違う部分が多く最初は戸惑いましたが、知識を蓄えることで、今では問題なく業務を進めています。
「尺」や「寸」については、今でも変換するのに少し時間はかかりますね(笑)
そもそも私は人と話すことが苦手。転職するまで建材メーカーの技術職だったので、先輩につい「マニュアルはありませんか?」と聞いてしまいました。先輩からは「お伺いするお宅は1軒として同じ家はない。目安はあっても、マニュアルはないから、経験を積むしかない」と言われてしまいました。
【現在 課題は?克服するためにしていることは?】
現場調査を見直し、しっかり見積り!予算管理を徹底したい!
予想外の工事が発生し
利益率が上がらない
特にリフォーム・リノベーション工事は新築と比べて工事内容が読めない部分が多く、当初の見積り金額に対して、予想以上に費用がかかってしまうことがあり、どうやって利益率を上げるかが課題でした。営業・設計・施工管理同士の連携も、うまくいかない時がありました。
しっかり現場調査をし
見積りを作成
想定外の工事が発生してしまうのは、現場調査がうまくできていなかったから。現場調査に行くときは、設備・電気・大工・屋根など協力業者さんにも来てもらい、今後起こりうるトラブルも想定した上で、見積りを出すことを徹底しました。また、資材や建材物価の動向に対する意識を常に持つように意識しました。
営業・設計・施工管理の連携も、業務フローの見直しを行い、引継ぎ内容の明確化、工事資金計画からお客様の要望内容の見える化、設計打合せに基づいて決定した仕様とその業者見積り、追加や変更内容の見える化を行い、スタッフ間の連携を密にしました。その成果もあり今期には、売上・粗利ともに目標を達成。大幅に改善することができました。
弊社では分業制をとっていて、営業は契約がまとまると施工担当者にバトンタッチをします。お客様から「ここはどんな納まりになるの?」と言われた時に、もっと施工知識があればいい回答ができると思いますし、スムーズな引き継ぎもできると感じていました。
【未来 これから身につけたいことは?取り組んでいることは?】
エクステリアプランナーを取得し、仕事の幅を広げたい
住宅のリフォームやリノベーションと同時に、エクステリアの提案もできるようになりたくて、1級エクステリアプランナーの取得を目指しています。勉強を通してエクステリアの知識を増やして、玄関まわりのアプローチやカーポート、塀、植栽、庭造りの工事も受注していきたいです。今年中の取得を目指し、問題集と過去問に繰り返し取り組んでいます。
将来的には宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーの資格も取得できたら、とも考えています。直接、施工管理の仕事には関係しませんが、個人的に不動産や金融の知識も増やしていきたいですね。子育てと仕事の両立もしながらになりますが、スキマ時間を見つけて色々なスキルを身につけていきたいと思っています。
伊賀さんの強みはポジティブ思考
やることをやっておけば「なんとかなるべ」
施工管理という職種は、お客様、現場の職人、公共機関、社内でも営業と設計、他にも色々な関係者との間で、板挟みになることもあります。うまくいかないこと、失敗することも多々ありますね。そんな時は細かいことには悩まず、やることをやっておけば「なんとかなるべ」(南部弁)と、気持ちを切り替えてポジティブに考えるようにしています。もちろん「適当」とか「投げやり」ということではありません。最善の方法を考え、真摯に取り組んだ上で、「ここまでやったら、なんとかなるだろう」と気持ちを切り替えるという意味です。
実は子どもの頃は消極的で、周りに遠慮しがちな性格でした。大学生から社会人になり、仕事を通じて改善され、ポジティブ思考に変化していきました。が、「面倒なことはなるべくやらない」「できれば避けて通る」という消極的な面もまだ残っていたように思います。それが30代後半で結婚・子どもの誕生を経験したことにより、「チャンスがあったら、なんでもやってみよう」と思うようになり、また違う変化があったと思っています。このポジティブ思考が、私の強みだと思っています。
伊賀さんの愛用アイテム。レーザー距離計、スケール、水平器などの他に、ヘルメット、ドライバー、カッター、マジックペンなど施工管理ならでは「調べる」「測る」「指示する」ためのツールを中心に装備
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