既存住宅の評価が焦点
国土交通省は3月6日、中古住宅市場の流通活性化を目的とした新たな研究会を発足させ、第一回「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」が開催された。
国土交通副大臣の鶴保庸介氏は「景気対策、日本の成長戦略として、中古住宅の流通はやらねばならない最重要課題」と話した。
研究会のメーンとなる議題は「中古住宅の評価」。国土交通省事務局からは、主に4つの研究テーマが発表された。
- 中古住宅の価格設定を行う際に、実際の建物の価値を価格に反映するためには、どのような情報をどのように活用すべきかという課題。
- 金融機関がリフォームの価値を担保評価に反映させるための課題分析。
- 中古流通時の物件情報開示を積極的に促すために必要なインセンティブの研究。
- 住宅所有者が、ストックの価値の維持・向上につながるリフォームをする努力を促す方法についての研究となる。
リフォームが資産になる仕組みを
一般社団法人住宅生産団体連合会の副会長、生江隆之氏(三井ホーム代表取締役)は「スムストック」住宅の解説を行った。「スムストック」とは、大手住宅メーカー10社からなる「優良ストック住宅推進協議会」が一定の品質を持ったハウスメーカーの中古住宅を独自に評価、認定し、流通させるというもの。
「査定についても、築20年で価値がゼロになってしまうような一般的な査定ではなく、適宜のリフォームをすることで資産価値が上がる独自の方式を採用しています」(生江副会長)。
さらに、自社で供給した物件を買い取り、リフォームした上で販売する「再築システムの家」(積水化学工業)、「エバーループ」(積水ハウス)なども紹介した。
委員の東京大学大学院経済学研究科、福田慎一教授は「再販事業は中古車業界と似ています。仲介会社が買い取り、メンテナンスし、価値を高めてから再販売するというモデル。流通量も増えています。一般消費者が今ある中古住宅を自ら評価して買うというのは難しいですが、プロが評価して価値を高めて売り出すことは今後も推進していくべきだ」と語った。
日本大学経済学部の中川雅之教授は、「中古が評価されず、売れないため金融機関も担保として見ない、という悪い均衡状態から、良い均衡状態に移すには、同時に色々なプレーヤーが行動しなければならない。例えば、不動産業者の方は物件の情報公開を広げていこうという流れですが、それを金融機関はどう評価するのかといったことを、この研究会ですり合わせしていければ」と話した。
研究会は6月までに全3回を予定している。
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