「省エネ性能が高いかどうかが、消費者が家を選ぶ基準になる」。リノベーション協議会理事、リフォーム会社エコラ(宮城県仙台市)の代表取締役である百田好徳氏は、住宅関連企業が加盟するLIVING TECH(リビングテック)協会(東京都港区)主催の「LIVING TECHカンファレンス#6」(6月5日開催)のセッションで、住宅業界のトレンドについて語った。
百田氏は、すでに新築においては、この4月より「建築物省エネルギー性能表示制度」が始まるといった国の施策を背景に省エネ化が進んでいるが、これが「中古住宅においてもトレンドになる」と説明した。例えば、窓の改修などを通じて断熱性能を上げる、IOTなどスマート化により消費電力を下げることでランニングコストを削減できるといった消費者メリットが大きいことも付け加えた。
左から百田好徳氏(リノベーション協議会理事/エコラ代表取締役)、橘嘉宏氏(三菱地所HOMETACTプロジェクトリーダー)、モデレーターの小室英雄氏(EYストラテジー・アンド・コンサルティング)、滝沢潔氏(不動産テック協会 代表理事/ライナフ代表取締役)、塩出晴海氏(Nature 代表取締役)
不動産テック協会代表理事で、ライナフ(東京都文京区)の代表取締役を務める滝沢潔氏は、2024年の働き方改革をはじめとする物流の問題に言及し、置き配の普及を推し進めたい、と意欲を示す。「労働人口がどんどん減っている。2050年には今より50%運べなくなるといわれており、物流コストを下げるために、置き配を(地主や管理会社に)OKにしてもらうことが必要です」
三菱地所(東京都千代田区)のスマートホーム事業「HOMETACT」のプロジェクトリーダーである橘嘉宏氏は「エネルギーマネジメントは一社だけでは完結できない」とし、賃貸マンションをスマートハウス化する上で、LIXIL(東京都品川区)やリンナイ(愛知県名古屋市)、パナソニックホールディングス(大阪府門真市)といった建材メーカー、家電メーカーなどの企業間の連携を強める必要性を訴えた。
Nature(神奈川県横浜市)の塩出晴海社長は、太陽光で発電した再生エネルギーを家庭で再利用する時代が来る、と力説。「戸建て住宅全てに太陽光を導入したら、日中に発電し過ぎて余ってしまう。蓄電池で貯めたり、エコキュートを使ってお湯にしたり、タイミングをずらして使用することが求められます」
本セッションのタイトルは「カーボンニュートラル時代に求められる企業のESG経営と、住まい手のwell-beingを両立させるには?これからの住宅業界のニュースタンダードはこれだ!」。「LIVING TECHカンファレンス#6」ではこれを含めた10のセッションが開催された。

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