国土交通省は3月25日、「不動産流通市場 活性化・事業者間連携協議会シンポジウム」 を開催した。シンポジウムでは全国14地域の 「事業者間連携協議会」がこれまで2年間に わたって取り組んできた、中古住宅流通を活 性化させるためのビジネスモデルを解説し た。インスペクターの育成や良品R住宅な ど、消費者に安心・安全な中古住宅を購入し てもらえる多彩なアイデアが披露された。
インスペクター育成や良品R住宅などアイデア多彩
国土交通省は中古住宅流通の活性化を図るために平成24年度より、宅建事業の事業者間連携を進めている。これは宅建事業者を中心に、リフォーム会社、金融会社、建物診断会社など、各事業者が連携して、消費者に安心・安全な中古住宅の売買を促すもの。全国に14協議会が設立され、各地域で中古住宅を流通させる最適なビジネスモデルを検討し、実行してきた。
▲安心・安全な中古住宅をワンストップで
シンポジウムでは各協議会が開発した中古住宅流通のビジネスモデルを報告した。協議会全体の方向性としては、中古住宅の売買を行う宅建事業者が消費者の窓口となり、インスペクション、瑕疵保険、リフォーム、ローンを各専門会社と連携して「ワンストップ」で提供できるネットワークを作っている。
首都圏既存住宅流通推進協議会では、中古住宅の診断ができる人材育成のため、「既存住宅アドバイザー」「既存住宅インスペクター」資格を創設し、計3493人が講習を受けた。また、建物診断の結果をウェブツールに入力するだけで、30分後にPDFの報告書ができる「アドバイザー」ツールなども作った。
甲信越地区中古住宅流通促進協議会では、中古住宅のブランド化を図ってきた。インスペクション、瑕疵保険付保、住宅履歴情報蓄積管理がなされた中古住宅を「良品R住宅」と認定する制度を作った。さらに、リノベーションや定期点検が付いた中古住宅は「良品+R住宅」とするなど、診断やリフォームが行われている住宅は他の中古住宅と差別化して流通させる。
奈良の建築・住宅支援センター協議会は中古住宅購入者は物件にも改修にも安さを求めていると判断し、職人に直接発注して 工事価格を軽減する仕組みを作った。また、センターがメーカーから商品を仕入れて、問屋となり、より割安に設備・建材を購入できるようにして、消費者の経済的負担を減らすことに取り組んでいる。
国土交通省土地・建設産業局長の毛利信二氏は「消費者と直接向き合う宅建業者は、リフォームや金融を、ワンストップで届けていただきたい。協議会の先進的ビジネスモデルや人材開発は各地域の中古住宅取引を変えつつある」と話す。
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2025/06/20掲載