2005年に社会問題となった悪徳リフォームが、再び急増している。特定商取引法に基づき、悪質な訪問販売で行政処分を受けた住宅業者は、昨年1年間で20社。これは2009年の法改正以来、最悪の件数となっている。消費者からのトラブル相談件数も再び増加傾向にあり、悪徳リフォーム全盛期が復活しつつある。
鉄骨造なのに「垂木が腐っている」
「垂木が腐っており、屋根を打ちつける釘もボロボロになっている。直さないと大変なことになる」。愛建ホーム(福岡県春日市)はこのようなうたい文句で消費者宅を訪問。しかし、この住宅は鉄骨造であり、そもそも垂木がなく釘もさびていなかった。
同社はこのような悪質な方法で契約させたとして、昨年6月に業務停止6カ月の処分を受けた。被害は本社のある九州以外にも、支店のある愛知県でも報告された。事態を重くみた消費者庁は、悪徳リフォームに対する注意勧告を実施した。
愛建ホームは「釘がボロボロ」と話したが、そのような事実はなかった
2015年最も重い業務停止12カ月の処分を受けた2社のうち1社は、住宅ハウジング(埼玉県越谷市)。同社は、愛建ホームなどと同様の手口で訪問。その後、消費者が承諾する前に作業を始めてしまうなど、断りにくい方法で高額な屋根の修繕などの契約を締樹代表は、10月に別会社でも処分を受けている。
消費者庁・取引対策課の中嶋誠統括消費者取引対策官は、「最も多い手口は、このような点検商法」と指摘する。点検商法とは、まず「床下を点検します」などといったうたい文句で消費者宅を訪問。その後、「このままでは家が倒れてしまう。今すぐ工事が必要」などと不安をあおり、高額なリフォームを売りつけるものだ。中嶋対策官は、「手口は10年前と全く変わらないアナログなもの」としている。

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