【住宅リフォーム売上ランキング2012・分析】リフォーム市場を読み解くキーワード③創エネ・省エネ
「2020年までに省エネ改修を倍増させる」
原発停止の影響による電力不足、再生可能エネルギー法の施行などにより、創エネ・省エネビジネスが活況を呈している。ただ、家電量販店をはじめとした大手事業者の参入・勢力拡大により、業界地図が刻々と変化してきている。
2009年から市場拡大
住宅用の太陽光発電市場は、2009年に国の補助金が再開されてから拡大を続けている。住宅用太陽光の補助金の受付・交付を行うJPECの発表では、2011年度の既築住宅向け補助金交付決定数は16万3971件となり、2010年度と比較し1.26倍の数字となった。2009年度と比較すると、実に2.17倍となっている。
特に販売数拡大をけん引しているのは各家電量販店。ヤマダ電機は今年度1KW30万円台(材工)のオリジナル太陽光を投入し、前年度の約2倍となる2万セット以上の販売目標を掲げている。また、楽天は今年に入り、インターネットによる太陽光の販売を開始。10月には全国対応とする計画で、格安価格を武器に販売数の拡大を見込んでいる。
HEMSや蓄電池の販売も
こうした大手のシェア拡大により、価格のイニシアティブが取れない中小事業者を取り巻く環境は厳しくなりつつある。ただ、彼らが新たなビジネスの可能性として見ているのが、太陽光OB客に向けた新ビジネス。最近、補助金が新設されたHEMSや蓄電池などのほか、住宅のリフォーム事業に参入する事業者も出ている。太陽光設置者はエネルギーに対するコスト意識が高いため、今後価格が下がればエネファームなどにも関心を示す可能性は高いと思われる。
2020年省エネ改修倍増
3・11以降、急速にニーズが高まっているのが、「省エネリフォーム」だ。そもそも建物のエネルギー消費量を抑えるために取るべきプロセスは
- 建物の省エネ化
- 設備機器の高効率化
- 再生可能エネルギーの活用 だ。
いくら水を注いでも穴だらけのバケツでは水はたまらないことと同じで、まずは断熱・気密対策をしっかりしなければ、高効率機器も再生可能エネルギー装置も最大の効果を発揮しない。原理原則はそうだが、水回りリフォームやインテリアリフォームとは異なり、改修後のベネフィットがわかりにくいため、あまり普及していないのが現状だ。
しかしながら、政府が2030年までの省エネルギー政策をまとめたロードマップ「低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進に関する工程表」においても「2020年までに省エネ改修を倍増させる」と記され、今後補助制度なども含めて普及を加速させていこうという姿勢がうかがえる。実際に経済産業省の平成25年度概算要求の中に、創エネ装置への補助制度だけでなく「既存住宅における断熱改修」に対して100億円(数万戸分)を予算要求している。工務店業界の参入が進み、競争が加速することも予想される。
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