一人親方でも入れる労災保険の特別加入制度の利用者が増えている。この制度の利用をサポートする一人親方団体労災センター(千葉県浦安市)では、2013年上半期のみで約3000人が加入した。
「加入した方の8割はこれまで労災に入っていなかった新規の方、2割は、土建組合などからの乗り換えです」(同団体 古口仁理事)
一般的に請負で現場に入る職人は、企業の社員ではないので保険の対象外になっている。
業界や地域ごとの組合、例えば土建組合などに入れば保険を受けることができるが、月々保険料とは別に5000円程度の会費があるほかに、全国大会などへの強制参加など保険以外に煩わしい実務が増えることがある。
同団体は労災保険のみを専門で取り扱っている組合のため、一番安いコストで労災を利用できる点が人気のようだ。
労災事故は昨年から増加傾向にあり、同団体でも加入者1000人当たりの事故率が昨年度と比較して約3倍(グラフ参照)に増加している。背景には震災復興や増税の駆け込み需要に起因する、全国的な人材不足が起きたためと考えられている。現場で万が一職人がケガをした場合、直接雇用している従業員ではなく、外注という扱いで請負作業をさせている人に対しても、 安全配慮義務を負うこともある。現場を任せる職人の安全を確保するためにも、しっかりとした雇用関係を築くためにも、労災加入の状況を見直す必要がありそうだ。

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