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老舗の材木店からビルダーに"転身"キリガヤ

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老舗の材木店からビルダーに"転身" キリガヤ

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 新築とリフォーム、資材販売事業を展開するキリガヤ(神奈川県逗子市)。同社は創業133年の老舗材木店だが、5代目社長の桐ヶ谷覚氏が1998年、モデルハウスを建設して本格的に住宅建築をスタートさせた。桐ヶ谷社長は「木を知り尽くした材木屋だからこそ、最高の木の家を建てるのが当社の使命。地域密着の家づくりを徹底していく」と話す。

薪ストーブを囲んで語らいの場に薪ストーブを囲んで語らいの場に

無垢の木の良さを体現

 キリガヤのルーツは、地元の逗子、葉山、鎌倉地区では名の知れた「桐ヶ谷材木店」だ。初代の桐ヶ谷初五郎氏が
山林から事業を興し、二代目の利夫氏が製材工場、資材販売へと扱いを広げ現在の基礎を築いた。

 覚氏が社長に就任したのは1992年。そのときの事業は資材販売が100%だったが、その後、住宅建築業へ事業を拡大。今では新築6億円、リフォーム4億円を主力とする年商13億円のビルダーへと大胆な転換を図った。

 「無垢の木を生かした家づくりを大工さんたちに提案していたが、受け入れてもらえなかった。そこで無垢の木の良さを体現する家を自ら建てようと、エンドユーザーさんに直接、注文を取りに行く営業に切り換えていきました」

約200棟の実績

 木の家の心地よさを全身で感じてもらうため、使う素材は自然素材にこだわり、無垢のフローリングを推奨している。これまでに約200棟の実績があり、平均単価は2000万~3000万円。昨年は25棟を受注した。

 また湘南地区の風土や住宅との調和に重きを置いた庭づくりにこだわり、新築、リフォームとも建物と造園を一体で設計施工するのが同社の特徴だ。

 「『いずれ住宅市場に出る』との思いでプレカット工場を藤沢市に操業させたのですが、狭い場所で続けるのには無理があって中止。次の事業を模索していた時、ウッドデッキを作って、私自ら営業に歩いた。そうしたら近所の方から造園の依頼があり、友人と2人で造園を引き受けたのが最初でした」(同社長)

 「安全」へのこだわりとして、同社では耐震工法SE工法を採用。「耐震性にこだわるお施主様も多く、年間10棟以上を受注しています」(同社長)

料理教室などが開かれるキッチンスペース(奥)。こだわりの家具類にも実際に触れて体感できる料理教室などが開かれるキッチンスペース(奥)。こだわりの家具類にも実際に触れて体感できる

住宅の"駆け込み寺"に

 一般ユーザーとの接点となり、同社の知名度アップに一役買っているのが、2012年にオープンした新社屋だ。

 JR逗子駅近くに建つ新社屋は3階建てで、総面積は約180坪。1階には貸しギャラリー、カフェスペースとキッチンスタジオ、3階には会議室があり、地域住民に有料で貸し出している。

 南開放により日差しが十分に差し込む1階には、木の表情が楽しめるテーブルや椅子、造作家具などが配置され、訪れた人に木の心地よさ、木のぬくもりが伝わる配慮がなされている。

 「コミュニティスペースを兼ねた社屋にしたのは、敷居を低くして多くの近隣住民に気軽に来場していただくため。イベントなどがほぼ毎日開催されており、年間1万2000人が来場してくれています」(同社長)

 同社がエリアとする湘南地区は所得水準が高く、リフォーム世代のシニア層が多く住む"ゴールデンゾーン"だ。「新社屋に移って、地域との共存をより強く意識するようになりました。地域密着の工務店として、住宅で困った時の"駆け込み寺"のような存在であり続けたい」と桐ヶ谷社長は語る。

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