管材・住設機器販売のヒトミ(京都府京都市伏見区)がユニークな社員教育で業界の注目を集めている。人見康裕社長は、先代から12年前に事業を継承。以来、社員一人ひとりの力を伸ばすための改革に取り組んでいる。「働く人が幸せになる職場を創造していく」と語る人見社長に、同社の人材育成の取り組みについて聞いた。

経営計画発表会には社外のビジネスパートナーも参加
社員資格制度を導入
就任から一貫して人見社長が取り組んでいるのが「社員の意識改革」。その1つが、経営計画発表会の開催だ。「社内の人間同士だけでなく、外部のお客様からも評価を受けることが大切」という人見社長の方針で、社外のビジネスパートナーを招いて経営計画発表会を開催している。
「全社員を6チーム程度に分け、経営理念の『掛け替えのないソリューションパートナー』をテーマに寸劇を発表し、お客様にも投票してもらう"アカデミー賞"は好評でした。社員にとっては自信がつくし、お客様にも当社の取り組みを理解してもらえる」(同社長)
手当付きの社員資格制度も導入。給水装置工事主任技術者などの資格試験受験料の半額を会社が負担し、合格すると数千円の手当が上乗せされる。「例えば簿記2級に合格すると月5000円、年間にして6万円、給料が上がる。家族にも喜ばれて、もっと勉強しようと頑張る社員が増えています」と人見社長は社員の意欲向上を評価する。
他社の優良事例を学ぶ
さらに力を入れているのが、他社の優良事例を学んで取り入れる「社外ベンチマーキング」だ。「同業種の他社さんを見学させていただくのは大変有意義な学びの場。社員の意識が確実に変わります。かつて広島の管材会社に伺った際、倉庫がとてもきれいなのに感激し、うちでも社員が整理整頓するようになった。倉庫は汚くて当たり前という状態が改まり、業務効率も改善しました」(同社長)
ここ数年は顧客サービス向上のため、正月三が日以外は年中無休。ホームページには社員全員の写真を載せるなど、顧客との信頼関係を重視した"地域ナンバーワンの物流体制"を目指す。「顧客サービス向上に本気で取り組み、社員自らがその手応えを感じて成長していく。そんな会社に飛躍したい」と同社長は創業60周年に向けての抱負を語る。

社外ベンチマーキングで他社の優れた点を学ぶ
軒先2坪で創業
「ヒトミ」の前身は1963年創業の「人見金属工業」だ。康裕氏の父で現会長の六郎氏が、老舗問屋から独立。借家の軒先2坪に水道管や資材を並べてのスタートだった。
日本経済が高度成長期を歩む中、同社は事業を着実に拡大。80年には住設機器部門を独立させ関連会社の専門卸「コーヨー」を設立した。89年に「ヒトミ」に社名を変更。康裕氏はTOTO勤務を経てコーヨーに入社し、2003年に「ヒトミ」の社長に就任した。
同社の前期の売上高は17億円。現在は京都の本社と滋賀県の大津営業所の2拠点を構える。「今までは社長の強いリーダーシップで会社を引っ張ってきたが、これからは違う。謙虚に市場の声に耳を傾け、お客様のご要望に応えられる体制をつくっていきたい」(人見社長)

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