部屋の内装は、欧米では塗装が一般的。国内ではクロス仕上げが主流を占めるが、最近は塗装仕上げの魅力が見直され始めている。施工しやすい塗料も増え、インテリア雑誌に見られるような完成された部屋をつくり出すことができる。

さまざまな自由な発想のペイントが可能。順々に色を重ねていく手法で鮮やかな模様を作りだした施工例
3000色を超える豊富な色から選べる
クロス仕上げに比べ、塗装は施工に手間がかかる。下地をより丁寧に整えなければならないし、養生も必要だ。塗装後の乾燥も含め、クロス仕上げに比べて、時間も大幅にかかってしまう。そのため、内装は、クロス仕上げで施工されることが多い。
しかし、塗装には、クロスにはない魅力がある。まず、多彩な色があり、自由なデザインが可能だ。多いものでは、3000を超える色の塗料を揃えているメーカーもある。複数の色を使い、壁をキャンパスに見立てて、自由にデザインすることができる。
クロスとはまた違う質感が魅力
クロス仕上げと違い、塗装は、つなぎ目なく、色を変えられる。部分ごとに色を変えても、仕上がりが美しい。壁や天井の一部分の色を変えることで、部屋にアクセントをつけるという楽しみ方もある。アクセントカラーなら、インパクトのある色を選ぶのも楽しい。
型紙を使って、版画のように色を塗り重ねていく手法を使うと、複雑な模様や絵を仕上げることもできる。塗装ならば、自分だけの壁を作りだすことができそうだ。

「壁や天井に自分だけのデザインを」という顧客に。家具やファブリックも考え合わせて色合いを選び、特別な空間に仕上げた例
自分好みの色で上質な仕上がり
クロスでは得られない質感も魅力だ。艶あり・艶消しなど、テイストも選べる。質感の違いで、部屋の印象も大きく変わる。塗装仕上げが、インテリアにこだわりを持つ層から支持されているのも納得できる。自分好みの色やデザインで部屋を仕上げれば、満足感もひとしおだろう。

部屋の一部の壁と天井に、他と違った鮮やかな色を入れて部屋のアクセントにするデザイン例。インパクトのある色を選んで印象づける
メンテナンスも手軽、ゴミを出さずに模様替え
塗装した壁の汚れは、塩ビクロスと同様、水拭きで簡単に落とすことができる。
部分的な補修も比較的簡単だ。重ね塗りでも、発色がきれいに出るタイプの塗料を選べば、失敗も少ない。時間が経ち、汚れがひどくなった場合や、色を変えて模様替えをしたい時には、重ね塗りをすればよい。
壁の色を変えるだけで、部屋の印象はがらりと変えることができる。重ね塗りによる模様変えなら、ゴミを出さずに新しい壁に生まれ変わる。これは塗装仕上げの壁の利点でもある。
施工時の塗料の跳ねや垂れが少なくなるよう工夫された製品もあるのでお勧めだ。施工性がアップし、扱いやすくなった水性塗料の登場で、「インテリア雑誌にある部屋と同じにしたい」というような要望にも、応えやすくなった。
内装の塗装仕上げは、クロス仕上げにはない魅力を持つ。内装材を考える際は、塗装という選択肢もあると提案できるようにしたいものだ。

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