建築資材や外壁用塗料などを供給するシーカ・ジャパン(東京都港区)のタイル剥落防止工法の利用が増えている。背景にあるのは外壁にタイルを採用したビルやマンションで、タイルの「浮き」の増加。外壁面全体で剥落事故を防止するニーズが拡大しつつある。
タイルの美観が損なわれることがないエバーガードSG
外壁タイルの剥落防止工事の施工・品質管理を行う一般社団法人機能性外壁改修工業会(東京都港区)によると、面積にして年間約15万平米の外壁タイルが剥落している。官公庁の改築工事やマンションの大規模修繕工事では、浮いた外壁タイルを補修しているが補修するのは浮きが発生している部位のみの場合が多い。今後発生する「浮き」には対処できないのが実情だ。これを受けて、予防保全を目的とした外壁面全体で剥落事故を防止する工法の普及が進みつつある。
そこで、シーカ・ジャパンは、エバーガードSGとノンネットガードUの2つの工法を展開。エバーガードSG工法は、特殊専用アンカーで既存タイル張り仕上げ層を躯体に固定し、透明度の高いウレタン樹脂をタイル面に被膜。意匠性を保持したまま剥落を防止する。
同社TM外装材チームの濱村浩司チーム長は「施工から10年が経過しても、塗膜が変色しにくい。今一番安定している工法です」と話す。
ノンネットガードU工法は、特殊専用アンカーでタイル張り仕上げ層を躯体に固定し、塗膜強度が高いウレタン樹脂で外壁面を被膜。その後、ネットを用いずにタイル張り仕上げ層の剥落を防止する。ウレタン樹脂で剥落防止をしつつ、仕上げまで同じ材料で塗布するため、工期を短縮できるのが特徴だ。
同工法を施工するには、一般社団法人機能性外壁改修工業会への入会が必要。入会後、座学と実技を受講し、試験を経てライセンスを発行する。
今後の可能性について濱村チーム長は次のように話す。「官公庁は公共建築工事標準仕様書に基づくため、外壁タイルは張り直しや樹脂注入で対処します。しかし、特記仕様書に一部補修工法が記載されるようになりました。これなら剥落防止工法が可能ですので、今後、特記仕様書は増えていくと考えられます」
TM外装材チーム チーム長 濱村浩司氏
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