「自分の家で楽器の練習をしたい」「ホームシアターを楽しみたい」そんな住まいの防音ニーズに合わせ、大建工業では各地で「防音相談会」を開催している。東京などは、1日4講座を月間8回開催しているにもかかわらず、3カ月先まで予約が埋まる人気。そんな相談会に潜入調査を試みた。
都内某日。秋葉原のショールームでは75分間の制限時間を超えても、真剣に相談を続ける夫婦がそこにいた。使った建材の性能が違う2部屋で、大きく異なる音漏れの違いに関心を示している。「こっちの部屋だと聞こえるよね」と夫婦がつぶやいた一言。担当者は「そこを感じてもらうことが大事」と話す。
「防音相談会を始めたきっかけは、防音のお客さんニーズはありますが、ミスマッチが起きていたためです。楽器にしてもピアノとトランペットではトランペットの方が音が高いですから、音源に合った部屋づくりをしないといけません。どんな建材を使うかで費用も大きく異なりますから、要望を聞き出して、落としどころをここでアドバイスするわけです」(エコ音響製品部 サウンドセンター 井上直人リーダー)
アドバイスをするのは、すべて生え抜きの防音スペシャリスト。なんと同社では、同部に配属されると、ほぼ異動はないのだとか。「防音を一通り提案できるまで10年はかかります」と井上リーダーは話す。
生え抜きの防音スペシャリストがアドバイス
一口に防音といっても相談内容は様々。最も多いのは、楽器の練習のためだが、DIY工作のため、犬の鳴き声を防ぎたいなど、変わった要望も入ってくる。「最近印象深かったのは、学生時代からサックスをしていた奥さんの事例。元々、他社の電話ボックスのような防音室で練習していたそうですが、息苦しかったようで...。防音室を作りたいという相談でした。家に防音室があると好きな時にできますから、生活の不満やイライラがなくなったようです」(同氏)
同社の建材を利用すると「押し入れを防音室に変える」といったリフォームも可能だとか。求める性能で価格の変動はあるが、100万円もあれば立派な楽器練習場ができる。
「一般の住宅で一番音漏れをしているのは換気扇。ここには車のマフラーのようなフードを外につけるのです。相談に来られると満足していただけるようで、クレームが出たケースはないですね」(同氏)
同社では、各地ショールームで相談会開催のほか、リフォーム会社の要望に応じ、防音提案書の作成も無料で行っている。音で生活を豊かにする活動がここにはあった。

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