LIXILは独グローエの株式取得が完了したことから、海外事業展開をさらに加速する。これは、LIXILの藤森義明社長が、グローエのヘインズCEOらと29日、都内で記者会見し、表明したもの。席上、藤森社長は「これでグローバルな事業展開に一定のめどが立った」と述べ、2020年3月期の海外売上高1兆円の目標達成に自信を示した。
握手する藤森社長(右)とヘインズCEO
藤森社長は水栓のブランド戦略について、「上位機種がグローエ、普及機種がLIXILと既に取得済みのアメリカンスタンダード、下位機種がグローエ傘下のJoyou(中国)と、品ぞろえが整った」として、積極的に新興国市場などを開拓する姿勢を見せた。さらに、グローエの独立性を保ちながらブランド価値を維持する考えを示し、「最上級ブランドとしてグローエを活かしていく」との方針を明らかにした。
グローエは、浴室やキッチンで使う水栓金具の欧州最大手。LIXILは「グローエプロフェッショナル」と「Joyou」というグローエが持つ2つの商品カテゴリーを手がかりに、アジア、南米を含む世界展開を今後積極的に進める。LIXIL、グローエ双方の製品が、今後互いのショールームに並ぶ可能性もある。
一方、グローエ側にとっては、総合水まわりメーカーに転換するため、米国、日本の大市場にも足がかりが得られることになる。ヘインズCEOも「大変大きな商機がある」と、期待を示した。
LIXILは、日本政策投資銀行と共同で、グローエの発行済み株式87.5%の取得を完了した。取得総額は負債の引き継ぎを含め約29億3500万ユーロ(約4100億円)。LIXILは今後連結子会社にする方針。グローエの売上高は2013年が約14.5億ユーロ(約2030億円)の見込み。
≪Voice≫ LIXIL 藤森義明社長
2013年は新築が好調、リフォーム売上10%増と半期決算で過去最高益を計上した。今年はリフォーム製品の充実、サプライチェーンの再整備、工事体制の拡大、リフォームを促進する金融商品の投入などで更なるリフォームの成長を図る。また、「アメリカンスタンダードブランズ」の子会社化、「グローエ」の買収交渉と北米、アジア、ヨーロッパでの海外販売基盤が整いつつある。2020年の海外売上1兆円、国内売上2兆円を実現する。
グローエ、年15%成長維持 ヨーロッパでNo.1
LIXILが株式取得を完了した、独グローエは、浴室・キッチンの水栓金具では、ヨーロッパNo.1で、シェア15%を持つ企業。全世界でも、約9%のシェア。2009年から2013年まで、年平均で15%の成長を続ける。グループ傘下のJoyou(中国)は、水まわり製品で中国No.1。新興国市場に強みを持ち、グローエの売上のほぼ半分を稼ぎ出すエンジンとなっている。デザイン力にも優れ、2011/2012年に「レッドドットデザイン賞」を受賞した。

最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
1654号(2025/06/23発行)6,7面
-
1654号(2025/06/23発行)21面
-
1654号(2025/06/23発行)19面
-
1654号(2025/06/23発行)4,5面
-
1654号(2025/06/23発行)2,3面