住宅用郵便ポストの大型化が進んでいる。ネット通販が一般化する中、最近は大型の郵便物が急増。大きい荷物もスムーズに入るポストの普及で、不在時の再配達の手間を減らす効果が期待されている。
記者会見で大型郵便ポストの普及について発表した笹川順平ナスタ社長(中央)と、
ジャスパー・チャン・アマゾンジャパン社長(左)、高橋亨・日本郵便社長(右)
メール便取り扱い数は56億3800万件
インターネットを利用したショッピングやオークションの荷物配送で、増えているのがメール便だ。国土交通省によると、2013年度メール便取り扱い数は56億3800万件に上り、出版だけでなく幅広く宅配に活用されている。
全国一律の安価な料金で利用でき、ポストに投函するだけで、対面の受け渡しの手間、不在時の再送のわずらわしさがない点が歓迎されている。
大型のメール便も楽に入る。戸建てタイプ(右)、集合住宅タイプ(左)
郵便受けに入らない大型メール便が急増
さらなる伸びが予想される一方で、大型のメール便が住宅用ポストに入らない事態も増えている。集合住宅用郵便受けを主力とする建築金物メーカー、ナスタ(東京都中央区)によると、オンラインショッピングの利用客のポストに発送されるメール便の、約65%がポストに入らないという。
同社の笹川順平社長は「宅配の環境は大きく変わっているのに、ポストの側はなかなか変化できないでいた。受け口を大きくすると、セキュリティーに問題が生じ、防犯する工夫の対応が遅れていた」と話す。
セキュリティー配慮「ナスタガード」開発
そこで笹川社長は"ポストの革新"に挑戦。ネット通販大手のアマゾンジャパンと連携し、アマゾンをはじめとするメール便の最大サイズである35×37×3.5センチの箱がポストインできるポストを戸建て向けに開発した。集合住宅向けには、アマゾンで流通量の最も多いメール便サイズに対応した。
重要な防犯対策としては、受け口に荷物の抜き取り防止のためのすだれ状のフラップ構造「ナスタガード」を開発。
戸建て用住宅ポスト「Qual(クオール)」は10月から販売。壁掛け式縦型タイプで、受け口を広くし、キャパシティーも広げて大型メール便の1発ポストインが可能だ。ホワイト×レッド、ライトグレー×ブラックなど4タイプのカラーバリエーションをそろえた。定価4万9500円(税別)。
戸建てタイプは4カラーのバリエーション
集合住宅用の「D-ALL(ディオール)」は11月から発売予定。価格は前入―前出が定価1万1000円~(一戸あたり、税別)、前入―後出が定価1万2000円~(同)。
集合住宅向け郵便ポストのシェア45%を占める同社は、「D-ALL」の投入で60~70%までシェア拡大を目指す。また、戸建て市場では主にデザイン志向の施主のニーズ獲得に力を入れていくという。
ナスタ 笹川順平社長 「ポストの常識を変えるポスト」
当社は、社会に貢献するポストメーカーを目指し、ポストの常識を変える次世代ポストの開発に取り組んできました。Eコマース市場は数年後には2倍になるといわれています。いくらモノを速く運んでも、住宅の玄関先で受け取れないという課題を解決し、より速く確実に受け取れる物流インフラを構築します。

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