日本の風土に合った瓦屋根だが、重く、自然災害に弱いイメージがある。台風や地震などが多発し、防災意識が高まりをみせる時代だからこそ、防災に役立つ瓦を知っておきたい。最近注目の防災瓦は、組み合う構造や軽量化により、剥がれ落ちる危険が少ない。安全性と瓦の風合いとを両立している。
下の瓦が上の瓦をロックする構造で、耐風・耐震・耐久性能を発揮。施工性も向上し、一般の瓦屋根と同様 [写真提供/鶴弥]
日本の風土に合う優れた屋根材
瓦はほどよい通気性や耐久性、防火性に優れており、日本の気候や風土に適した屋根材といえる。また、メンテナンスも不要で、優れた屋根材だ。
しかし、他の屋根材に比べて重く、台風や地震で剥がれ落ちることがあった。屋根から落ちた瓦が人に当たったり、隣家のガラスを割ったりする恐れがあり、非常に危険である。大地震への対策が求められるなか、防災瓦への注目が集まっている。
瓦同士がかみ合う強い固定力
瓦が重なった部分を固定するアームは、曲がったり錆びたりしないよう加工されている。オーバーラップロック部は働き長さの調整ができる [写真提供/新東]
防災瓦とは、施工時に瓦同士がかみ合う構造をもった瓦のことだ。下の瓦のアームが上の瓦をがっちり押さえこむことで強い固定力が生まれる。強風で飛ばされたり、地震によって剥がれ落ちたりする危険を回避できる可能性が高い。
かみ合わせ構造に加え、補強金具も取り付けることで、釘を使わなくても、瓦同士ががっちりとロックされた状態になるのだ。
ある実験によると、防災瓦は震度7クラスの地震でも強い耐震性を発揮し、剥がれ落ちることがなかったという。また、ひと昔前の瓦に比べて、瓦自体も軽量化されているため、建物への負担も軽減されている。
軽量瓦でもできる防災対策
防災に効果があるものには、さらに重量を減らし軽量化した瓦もある。樹脂に包まれた気泡を内部に多く含む構造で、重量は一般の陶器平板瓦の半分以下だ。
南部漆喰などを用いた従来の重い湿式工法ではなく、独自の乾式工法を採用し、屋根全体の軽量化を実現。専用の釘で瓦を固定し、強風や地震によるずれや落下、飛散を防ぐ。
軽量瓦もまた災害に強い屋根といえる。
軽量瓦は専用の釘で固定する。強風や揺れにも強い。浸水を防ぎ水切りが円滑な設計で大雨にも対応 [写真提供/ケイミュー]

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