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遮熱塗料、太陽熱を反射し室温5℃下がる

遮熱塗料、太陽熱を反射し室温5℃下がる

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 東日本大震災以降の省エネ意識の高まりを受け、遮熱効果を持つ塗料が注目を集めている。塗装するだけで室内温度の上昇を抑える上、省エネリフォームの中でも比較的施工が簡単なため、幅広いユーザーのニーズを獲得できそうだ。

汎用塗料と遮熱塗料の屋内照射試験

日本特殊塗料 グレーを塗布した板で実験グレーを塗布した板で実験した結果、遮熱塗料の裏面温度は時間が経過しても低いまま
画像提供/日本特殊塗料

室内に伝わる屋根の表面温度

 夏の室内が暑苦しいのは、太陽光に含まれる近赤外線が原因。この近赤外線が建物の表面温度を上昇させ、その熱が室内に侵入するため暑くなる。中でも、夏場65~80℃まで表面温度が上昇する屋根は、室内温度に大きく影響する。

 そこで注目されているのが、屋根に塗装する遮熱塗料だ。塗るだけで高い省エネ性を得られる点が人気を呼び、出荷量は年々増加。ここ10年間でおよそ5倍の伸びを見せている。

汎用塗料と遮熱塗料における平均温度の比較

エスケー化研 遮熱塗料を施工した屋根表面遮熱塗料を施工した屋根表面では11.6℃、室内では4.6℃も汎用塗料より低い温度を保つことが分かる
画像提供/エスケー化研

エアコンの消費電力を15%カット

 遮熱塗料とは、特殊な顔料やセラミックを含む塗料で、太陽光による近赤外線や熱を反射・散乱する。そのため、屋根からの熱吸収を抑え、室温の上昇を食い止める効果がある。さらにセラミックには、いったん吸収された熱を放射する働きもあるので、より高い遮熱効果が期待できるというわけだ。

 遮熱塗料を屋根に塗れば、表面温度がおよそ10~20℃も低減。室内温度も3~5℃ほど下がり、エアコンの消費電力を約15%カットできる。費用対効果が高く、導入しやすいのも魅力だ。

エスケー化研 遮熱塗料の仕組み例遮熱塗料の仕組み例。
塗料内の特殊な顔料が近赤外線を反射して、熱を遮る
画像提供/エスケー化研

色でも効果の異なる遮熱効果

 遮熱塗料にはさまざまなカラーがあるが、色の明るさも効果に大きく影響する。性能の高さを表す指標「日射反射率」で見ると、白色が90%と最も高率。明るめの中間色だと70~80%、暗くて濃い茶色や黒だと40~50%まで遮熱効果が下がる。高い遮熱効果を期待するなら、できるだけ明るい色を選ぶのもポイントだ。

 特殊セラミック成分の働きで、汚れが付着しにくい遮熱塗料も登場している。遮熱効果が長期間持続するため、塗り替え頻度を抑えられるのがメリットだ。

 また、水性タイプの遮熱塗料も登場。においが気にならず、地球環境に優しいのが特長だ。

色別の遮熱性能比較

エスケー化研 色の濃淡によって日射反射率が大きく変わる色の濃淡によって日射反射率が大きく変わる。できるだけ明るいカラーを選びたい
画像提供/エスケー化研

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