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KMユナイテッド、「ママ職人」急成長中

KMユナイテッド、「ママ職人」急成長中

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住宅ストック市場の新シナリオ13

keyword 07◆ 職人不足対策

 職人不足が深刻化する中、いかに良い人材を確保するかがリフォーム事業者の最大の経営課題だ。塗装工事業を行うKMユナイテッド(大阪府大阪市)は、職人とは無縁の未経験者を育てる人材戦略によって、着々と「できる職人」を育成している。

業界未経験の「ママ職人」が続々と誕生業界未経験の「ママ職人」が続々と誕生

未経験者でもできる

 「ママ職人のために、ペンキを替えた。保育ルームをつくった。新工法を開発した。業界の常識も塗り替えていた」│。

 2016年、こんな全面広告が日本経済新聞の誌面を飾った。KMユナイテッドが放った企業PRだ。現在、従業員30人のうち7人が女性職人。そのほとんどが未経験から建設業界に足を踏み入れている。

 「女性や外国人は、やる気も勤労意欲も高いのに就職先が見つからなくて困っている。そこを狙って人材募集をかけようと思いました」と竹延幸雄社長。マザーズハローワークなどに求人を出し、手に職を付けたい女性を募っている。

 腕が求められる業界にありながら、女性や外国人といった未経験者をターゲットにできたのには理由がある。職人仕事の大半が、経験豊富なベテランでなくてもできる作業だと分析したからだ。

 「作業工程を細分化して調べたところ、左官仕事の35%、シール作業の55%、内装の60%、塗装の50%が、経験豊富な職人でなくてもできることが分かりました」。初歩的な作業と、ベテランでなくてはできない作業を種目別に切り分け、初歩的な作業を未経験者が担えば、すべての作業に経験のある職人を投入しなくても仕事を回せると考えた。

7名の女性職人が活躍7名の女性職人が活躍

第一段階は「クラフトマン」

 竹延社長はもともと広告代理店出身。建築塗装業を営む親会社の竹延を引き継ぐためにこの業界に入ったとき、大きな違和感を感じたと言う。「職人は外から評価されることがほとんどないため、人によって技量差が大きい。特に関西では職人の質の低下が顕著。職人は十年で一人前なんて言いますが、長くやっているだけで技術が伴っていない人も多いのではないでしょうか」

 未経験者を起用するだけでなく、質の高い職人を育てることが業界を底上げする道。そう考えた同社は、職人を段階分けすることで効率的に育成する仕組みを考案した。

 第一段階は「クラフトマン」。ペーパーがけや養生など、ベテランでなくてもできる3種目の作業に絞り込み、これらをスピーディーかつ完璧にできるよう1年半かけてマスターする。次の段階が「サブインストラクター」。さらに「インストラクター」「トップインストラクター」と昇格するにつれ、手掛けられる作業の種目、給与がアップする。現在、フィリピンやインドネシア出身の職人がサブインストラクターに駒を進めている。

 育成に当たっては、卓越した技術を持つ職人が指導しながら、独自の能力評価シートを使って一人ひとりのスキルを評価する。「技術を教えるだけでなく、なぜその作業が必要なのかから教えています。ペーパーがけも養生も、質の高い施工のベースですから」

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