健康な老人「アクティブシニア」―2025年に人口の3分の1、100兆円の高齢者マーケットのカギは、「趣味」「仕事」「健康」?
昨今の60、70代は、10年以上前とは違う─そんな声が、業界問わず聞こえるようになっている。還暦を超えても、現役世代並みの活力を持ち行動をする「アクティブシニア」が近年、注目されている。彼らの消費動向の特徴、リフォーム業界への影響、対応策とは。
《目次》
アクティブシニアが消費を左右する
趣味、仕事をリノベに反映
高齢者の8割は介護不要か
そもそも、アクティブシニアとはどのような世代なのか。この言葉が出てきたのは、2007年頃。団塊世代と呼ばれる、戦後すぐに生まれた世代が相次いで定年退職した頃から、言及されるようになってきた。日本アクティブシニア協会(東京都千代田区)では、65〜75歳の前期高齢者を指している。
アクティブシニアの特徴は、これまでのシニアとは違い、年を取っても活動的、労働意欲があることだ。生涯現役の志向、自立心が強いとされている。
データを見ると、頭や体を動かすことを重視し、「労働」「健康」を意識している傾向がある。
内閣府が2019年に発表した「令和元年度高齢者の経済生活に関する調査結果」では、当時60歳以上で収入のある仕事をする人(1755人のうち、37.3%、654人)に、仕事をしている主な理由を調査。「収入がほしいから」が45.4%で最も多いが、次いで「働くのは体によいから、老化を防ぐから」が23.5%、「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」が21.9%と続く。
さらに、女性に至っては「働くのは体によいから、老化を防ぐから」と考える人が28.4%もおり、男性の19.8%より10ポイント近く高かった。
この調査を踏まえて、調査結果を分析した中央大学大学院戦略経営研究科の佐藤博樹教授は、「男性、女性共に健康状態や社会活動の有無が、生きがいに関係する」と分析する。健康と労働について関連付けて考えるシニア層が、確実に増えている。つまり、「高齢者=介助」というのは、現代の65〜75歳の人には当てはまらない。
高齢者の人口は、年々増えている。2021年9月時点で、国内の65歳以上の高齢者人口は過去最高の3640万人を記録。男女別内訳は男性1583万人(男性人口の26.0%)、女性は2057万人(女性人口の32.0%)。2025年には、65歳以上の男女の数が日本の全人口の3分の1を占めると予想されている。
市場規模も増えている。みずほコーポレート銀行(当時)の産業調査部のデータによれば、2025年には65歳以上のマーケット市場規模は100兆円を超えると見込まれている。
リフォーム会社のボリューム層は、50〜60代。その世代が「ご隠居様」ではないことは確実。当然、要求されるリフォームの内容も「働き手」「元気」であることを意識しないといけない。
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