リフォーム産業新聞は中古住宅のリフォーム・リノベーション事業を手掛ける大手3社の座談会を開催した。各社とも今後も中古住宅の改修ニーズは高まっていくとの見方で一致したが、事業や市場の拡大には課題もあるとの声が上がった。
- 「座談会テーマ」
- 2023年の振り返りと顧客ニーズの変化
- 2024年以降の戦略・戦術
- 中古住宅流通活性化の課題
ウィル空間デザイン(兵庫県宝塚市) | 課長 中村友輔 |
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不動産SHOPナカジツ(愛知県岡崎市) | 執行役員 杉江純人 |
リノベる(東京都港区) | 上席執行役員 安河内亮 |
司会 リフォーム産業新聞 編集長 金子裕介 |
新築高騰で中古住宅に焦点、改修需要さらに拡大へ
業績は好調
単価が上昇
「リフォームの品質基準が鍵」
不動産SHOPナカジツ
(愛知県岡崎市)
執行役員 杉江純人氏
不動産仲介、新築、リフォームなどを手掛ける総合不動産会社。前期のリフォーム売上は36億円。同社の特徴は家を探している世帯に対して、新築、中古、リフォームといったさまざまな選択肢を提供し、どれも自社で対応できる点だ。不動産店舗内にリフォームのショールームを用意したり、定額制商品を設けるなど独自の戦略で事業を拡大。杉江氏は改修事業関連を取り仕切る責任者。ゼネコンの施工管理などの経験を経て、2012年に同社に入社。
「脱炭素に貢献する改修を」
リノベる
(東京都港区)
上席執行役員 安河内亮氏
リノベるは主に中古マンションのリノベーション事業を手掛ける。前期のエンド向けのリノベ売上は71億円。不動産仲介会社と連携して物件探しから改修までをワンストップ対応。ノウハウを同業に提供するフランチャイズも展開。最近は法人向けのリノベーションにも注力。安河内氏はエンドユーザー向けのリノベ部門の責任者。コンサルティング、店舗ビジネス、人事などのキャリアを積み、リノべるに入社。
「地域活性化が流通に影響」
ウィル空間デザイン
(兵庫県宝塚市)
課長 中村友輔氏
不動産仲介、リフォームなどを手掛けるウィルのグループ会社で、リフォームを担う会社。2022年度のリフォーム売上は約19億円。ウィルの特徴は不動産仲介部門とリフォーム部門が連携し、中古住宅の仲介の際に改修もセットで提案すること。関西が地盤で、近年は愛知や東京にも出店し事業を拡大中。中村氏は関西エリアの営業部門を取り仕切る管理職。入社10年目。5年間はリフォーム営業に従事し現場にも詳しい。
──新築の建築費が高騰し割安感のある中古住宅が注目されています。そこで今回は中古住宅の仲介とリフォームを組み合わせたワンストップサービスを手掛ける皆さんに、このビジネスの現状と未来について語っていただこうと思っています。まずは2023年を振り返っていただき、前年と比べて、どのような変化があったかについて教えてください。
杉江 前年度(2023年4月期)のリフォーム売上は36億円でしたが、今年度は45億から46億円を見込んでいます。工事件数も1700件から2000件くらいにまで伸びるのではないかと。そして平均単価も前年度は250万円程度でしたが、これが70万円くらい伸びており、320万円となっています。
背景にあるのがパッケージ商品の強化です。「ラクリノ」という完全定額制の商品がありまして、この標準価格が750万円で、年間250件くらいあります。売上の3分の1くらいを占めるようになってきました。
顧客ニーズについてですが、お客さんが求めているのは安心・安全な取引。例えば、家が買えるか、買った後にお金を返せるか、今後どういう生活になるのかという目に見えないものが不安。そのためにはしっかりとした資金計画が重要です。
安河内 2023年4月~11月までの今期の途中経過ですが、売上、受注数、単価ともに前年を上回るペースで進んできています。売上や受注数については前年比120%ほど、単価も前年は1180万円ほどでしたが、30万円ほどプラスになっています。

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