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2013年はスマートリフォーム元年

2013年はスマートリフォーム元年

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省エネだけでなく建康で快適な価値ある

住宅への改良プロジェクト

2013年、本紙は「スマートリフォーム」の推進を提唱する。しかし、これは新築において今ブームとなっている「スマートハウス」とはやや性格を異にしている。単なるエネルギーマネジメントにとどまらず、居住空間の快適性、そこで暮らす人々の健康、そして資産としての家の価値を高める工夫までも含めた、トータルな住まいの改良プロジェクトだ。3人に1人が高齢者になるというこれからの時代、「住み慣れた自宅で健康・快適に不安のない暮らしを送る」ことの重要性はますます高まっていく。自宅を"賢い家"にリフォームすることの大切さを、多くの人々に提案していこう!

ストック住宅の品質改善に全力を

「スマートリフォーム」という名称での提案活動はすでにあちこちで始まってきている。特に、大手住宅会社からは、スマートリフォーム戦略が続々と打ち出されている。

「"超軽量"太陽光、重量は従来品の2分の1」。 「エコ・スマート・リフォーム」というブランドで既存住宅のスマート化に乗り出しているのがミサワホームだ。同社では躯体への負担を軽減できるシステムをメーカーと共同開発して販売を強化。重量の大きいパネルの搭載が難しかった住宅への提案も可能となった。

竹中宣雄社長は「首都圏で関心が高く、売り上げも順調に伸びている」と話す。

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)付きHEMS「enecoco(エネココ)」も合わせて提案している。これは一般的なHEMSが持つエネルギーを見える化する機能に加え、ミサワホームのオーナー同士で省エネの成果についての情報交換がオンライン上でできるという機能も持つ。例えば「エアコンを最新商品に買い換えたら毎月の電気料金が下がった」といった、省エネにつながる暮らし方も発信ができ、他のオーナーと共有できる。
これらの商品に加え、リチウムイオン蓄電池も合わせ、3点セットの提案が主なスマートリフォーム戦略となっている。

躯体の断熱改修も提案

住友林業はスマハ関連設備機器の搭載に加え、躯体の断熱化を図り、住宅の基本的な省エネ性能を高めることまで含めた提案を行っている。太陽光パネルで発電しても、エネルギーロスが多い住宅であれば省エネにはつながらないという考え方だ。

市川晃社長は「大前提にあるのは断熱性、耐震性を向上させるという、住宅の基本性能アップ」と話す。そこで床下、天井裏、壁の断熱材の有無や施工の状況確認、さらに、玄関ドア、窓枠、ガラスといった開口部の現況もチェックし、躯体の最適な省エネプランを提案する。長期利用できるために耐震診断・補強にも力を入れる。

住友林業「スマートリフォレスト」
▲住友林業では、「スマートリフォレスト」の名称で、スマートリフォームを推進。断熱・耐震の躯体補強をベースとし、太陽光発電、HEMS、蓄電池等を組み合わせて、「節電」「発電」「蓄電」を実現する

自然エネルギー最大利用

大手の中で最もこの分野に注力しているのが、三井不動産グループの三井不動産リフォーム。スマハ設備の搭載、躯体性の断熱化に加えて、太陽の光や風などの自然エネルギーを活用し、冷暖房機器のようなアクティブ(能動的)な機器を極力使用しない暮らしを実現するパッシブ(受動的)設計にまでこだわる。

昨年11月にオープンしたモデルハウス内には、例えば夏場に地表の涼しい風を取り入れる「地窓」が床に取り付けられていたり、水を撒けば涼しい外気が発生しやすくなる「保水ブロック」を庭に施工したりしている。自然風の利用によって、冷房エネルギーを減らすわけだ。「太陽光発電や蓄電池は価格がまだリーズナブルになっていません。その意味でもパッシブを積極的に利用していきたい」(商品企画室工事推進部、秋山国男マネジャー)。

単に機器に頼るのではなく、自然をうまく取り入れられるように建築的な工夫を凝らすことも重要だ。
「スマート」というと省エネ性能の向上だけ注目されがちだが、リフォーム分野で推進していかなければならないのは、断熱・耐震性能の改善、さらに は光や風といった自然を取り入れ、健康に良く、快適で、安心な、より価値ある住宅へと改良していくこと。

700万戸超も空き家がある住宅大量余剰時代の今、求められるのは新築よりもむしろ既存住宅のスマート化。良質な中古が増えれば、課題となっている中古住宅流通も活性化し、ストックマーケット全体の拡大につながる。

三井不動産リフォームの「スマートリフォームモデルハウス」
三井不動産リフォームの「スマートリフォームモデルハウス」(東京・自由が丘)。築50年の戸建てにスマートハウス関連設備を搭載。さらに、断熱・耐震化、太陽の光や風を取り入れるパッシブ設計が施されている。

創エネ・蓄エネで効率運用

東日本大震災を契機に一気に高まった生活者の省エネ意識を受け、「スマートハウス」が続々と登場してきた。「スマートハウス」とは一般的に、家庭のエネルギー管理システム「HEMS(Home Energy Management System) 」によって太陽光発電、蓄電池、家電、燃料電池、電気自動車等を一元的に管理する住宅。発電量・消費量を数値で確認できたり、無駄のない最適な運用を行ったりし、省エネ化を実現する。

積水ハウス「グリーンフォースとハイブリット」
積水ハウス「グリーンフォースとハイブリット」照葉スマートタウン

発電のまち「スマートタウン」

積水ハウスは、太陽光、燃料電池、蓄電池、HEMSを搭載するスマートハウス「グリーンファーストハイブリッド」の普及に力を注ぐ。また、スマートハウスが集まった分譲地「スマートタウン」の開発にも着手。「照葉スマートタウン」(福岡県福岡市)は約180区画に建てられるスマートハウスがそれぞれ発電・蓄電することで、まち全体でエネルギーの自給自足を実現し、省エネ、省CO2を実現する狙い。余った電力は売電したり、近隣世帯へも供給が可能となる計画で、発電所のようなまちだ。

積水ハウス「スマートハイム」。
積水ハウス「スマートハイム」。
大容量ソーラー+HEMS「スマートハイム・ナビ」+大容量リチウムイオン蓄電池「e-Pocket(イーポケット)」の3点セットを搭載するスマートハウス
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