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中古・賃貸は大量発生する「空き家」に注目《2015年不動産市場予測》

中古・賃貸は大量発生する「空き家」に注目《2015年不動産市場予測》

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さくら事務所 長嶋修氏 不動産コンサルタントの長嶋修氏が2015年の「住宅市場予測」を発表した。「本年は、アベノミクスによる円安基調が続き、金利は低く抑えられ、株価も堅調に推移、実質賃金が上昇に向かえば不動産市場はおおむね堅調に推移する。ただ新築の恩恵が都市一等立地などに限られるなか、中古や賃貸住宅の市場では大量発生する空き家への取り組みが注目される」としている。

さくら事務所 長嶋修氏
(不動産コンサルタント)

「新築市場(マンション・一戸建て)」 →ステイ→

 日銀がJ-REIT( 不動産投資信託)を年間900億円買い入れる動き、相続増税対策や円安で海外マネーが都心部のマンションを買う動きなどがあるも、影響は都市部の一等立地など一部需要の強い住宅地のみ。住宅金融支援機構の「フラット35」で金利の引き下げが行われる予定だが、1%を切る水準になれば大きな起爆剤となる。「住宅エコポイント」も復活するが、早期に大胆な方策がとられるなら効果は高いだろう。

 新築着工数は、一昨年に100万戸、昨年は90万戸弱(推定)で、適正と思われる45万戸程度に向かい、長期的な下落トレンドは必至だ。人件費・資材価格高騰から厳しく、建物価格割合の大きい郊外などでの分譲事業はさらに減少するだろう。

「中古市場(マンション・一戸建て)」 ↑UP↑

 増税後の落ち込みは脱し持ち直すだろう。今後は市場整備によって数倍に膨らむプロセスにある。立地や建物をさらに吟味した上での取引は再び活発化するだろう。団塊世代がいなくなった後、大量の空き家発生が見込まれる郊外住宅地や駅から遠いマンションなどは早期の売却を勧める。

 昨年11月に「空き家等対策の推進に関する特別措法」が成立し、今年施行される。特定空き家について所有者名義を簡単に特定できるようにしたり、立ち入り調査も行えるほか、修繕や撤去を命令、強制代執行もできる。空き家を放置することによる固定資産税の軽減措置も見直されそうだ。各自治体の取り組みによっては市場に大量の中古住宅・土地が売りに出され、市場の需給に少なからぬ影響を与えるかもしれない。

「賃貸住宅市場」 ↑UP↑

 一番面白そうなジャンル。空き家対策元年とも言える2015年だが、昨年は「消滅可能性都市緊急対策本部」を設置した豊島区による「シェア居住」や改修可能な「カスタマイズ賃貸住宅」など2万戸ある空き家の改修支援対策が象徴的だった。昨年3月に国交省は、借主が自費で修繕やDIYを行う借主負担型の契約指針としてガイドラインを公表しているが、今年はさらに金銭負担の在り方や具体的な契約書への記載方法も検討するとしている。

 ただ賃料を下げるのではなく、従来型の賃貸契約手法にとらわれない、空き家に魅力を持たせる方策が百花繚乱の様相を呈する年になりそうだ。

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