幹部のうつ、中堅社員の離職...苦闘の2年
2008年の設立以来、住宅の外壁塗装を中心に増収を続けてきたユウマペイント(千葉県柏市)。7期目となる2015年6月期決算では、7億8000万円まで事業を拡大させた。しかし前期は一転し、6億5000万円と減収。「この2年、弊社にとって大きな転換点だった」と話す、佐々木拓朗社長に聞いた。
売上高の推移
作りたかったのはこんな会社じゃない
「お久しぶりです!今日から復帰します!」
今年5月、社内に営業部、佐伯ゆき恵さんの元気な声が響いた。創業当時から働いてきた佐伯さんは、2年前に休職。理由は「うつ病」。激務による精神的負担が原因だった。
2年前、佐伯さんの休職に合わせるように、中堅社員数人が離職。それまで3、4年目の社員が辞めることは珍しくなかったが、会社の中核をなす戦力が去ったことで、成長にストップを掛けざるを得ない状況となった。
「『人が少なくなっても、増収を達成するしかないでしょ』と幹部連中も言うんですけど、もう疲れ切って白目むいているような感じ。長年一緒にやってきた佐伯がいなくなり、中堅どころが辞め、幹部もそんな様子。正直、自分の会社経営に自信がなくなった」
社員の離職の原因もやはり激務だった。深夜までの残業は当たり前。休日出勤した際の、代休を取るのも難しかった。
工務部のある社員は、「休みを取る時は、『すいません。お休みを頂きます』と言わなくてはいけない雰囲気だった」と話す。
これまでも3、4年目の社員が辞めることは多かったが、激務に耐えられず、新入社員が入社するタイミングで、離職することが多かった。
「もちろん数字は追っていたけど、塗装で地域の人に必要とされる会社をつくり、仲間である社員が仕事を通じて認められる会社にしたかった。でも立ち止まってみると仲間がばたばた倒れていく。こんな会社をつくりたいわけじゃなかったのに、という思いだった」
佐々木社長と佐伯ゆき恵さん(中央)、眞田裕幸課長(右)。
深夜までの残業が当たり前だった2年前と比べ、社内の雰囲気も明るくなったという
初めての売上減
前期の当初計画は、7億8000万円からの増収となる8億円だった。しかし労働環境を見直し、社内整備を行うことも急務。社員には「目標を維持しながら仕事を減らす方法を考えてくれ」と伝えたが、画期的な方法は見つからなかった。

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