植田板金店(岡山県岡山市、植田博幸社長)は建築家の隈研吾氏と共同でCLT(直交集成板)を活用した小屋「木庵」を手がけ、その完成披露発表会が6月21日に行われた。
衆議院議員石破茂氏や脳科学者の茂木健一郎氏などさまざまなゲストも登場。写真左が植田博幸社長
小屋の屋根にはもちろん板金が使用されているが、基礎・外壁・内装は岡山県真庭市の銘建工業による杉材から作ったCLTを活用。茶室がモチーフとなっていることから内部の広さは4畳半で、これも隈研吾氏のこだわり。椅子に座った場合と床に胡坐をかいた状態で外の景色が眺められる高さ2カ所に窓を設けている。アンシンメトリーな形状で奥に行くほど天井高を高くするなど、空間に広がりを持たせている点は、躙り口から入室することで奥行きが広く感じられるという視覚効果を狙った茶室設計からヒントを得ている。販売価格は310万円(税別)。
コロナ禍の影響で、住居に近い場所に趣味や仕事場を持ちたいというニーズは増えている。防火地域・準防火地域以外のエリアで、延床面積が10平米以内であれば建築確認申請は不要であることから、関係者はこの小屋が、そういったニーズの受け皿として活用されることを期待している。
また、強度も強く、軽量で、短工期で施工可能なCLTの現状の問題点である価格についても、小屋のような民間の中小規模の建築物での活用が促進されることで市場でコストが下がり、国内需要が高まることに将来性を見いだしている。
完成披露発表会の会場となった国立競技場(東京都新宿区)は昨年開催されたオリンピックのメイン会場として知られているが、隈研吾氏が設計に関わった建築物としては最大規模を誇る。一方、今回発表された小屋「木庵」は最小サイズ。最大サイズの建築物で最小サイズの新建築物の発表を行った形となった。

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