防音工事というと、専門性が高く施工も難しいという先入観を持ちがちだ。しかし、競合が少なく工事単価も高い、また需要も一定の数が望める隠れた有望市場だ。大建工業で28年間防音に携わる、井上直人サウンドセンター長を取材した。
防音工事は実はそれほど難しくない
防音工事は、音を漏らしてはいけないという特殊性から、施工には常に高い精度が求められると思われがちだが、実はそうではないという。例えば遮音材を施工する時にむしろ隙間ができるように貼り、その隙間をコーキングすることで音が漏れないようにする。コーキングをしっかりすれば音は漏れないので、施工精度を求められるわけではないのだ。
「特殊な技術や工具を必要とするように思われたりするのですが、そんなことはありません。初回の工事の時に1、2時間弊社の説明を受けるだけで、大工さんに苦も無く工事してもらえています」(同氏)
設計は難しいが、アウトソーシング可能
防音工事で、経験が必要となる最も難しいことは設計だ。どんな材料を使えばどれだけの効果をもたらすかが分からないと、防音設計をすることはできない。また、音の種類によって設計も大きく異なってくる。
だが、同氏は設計を自社で行わずに、外に出してしまえばよいという。大建工業では設計支援を事業として30年以上継続しており、間取り図とある程度の仕様が分かれば、同社で設計を行ってもらえる。長年の経験とノウハウ、知識を習得するのは、それぞれの企業の少ない現場数では難しい。大建工業の知識と経験の蓄積を生かした、設計支援サービスを上手に活用したい。
まず大事なのは提案すること
大建工業ではリフォーム会社や工務店の依頼を受けて、毎月300件から400件の防音工事の提案書を提出している。これは防音工事の仕様ごとの予算感や、工事後の効果を把握できるもの。
防音工事は、「提案されていないこと」が一番の普及のネックとなっている。標準的な工法での防音工事は8畳1部屋の場合、およそ200万円。楽器メーカーの提供する防音ルームよりも安価に、音の問題を解決できる。実際、大建工業のショールームで行われる消費者向け防音セミナーは、毎回満員御礼だ。
「楽器を演奏する方が家族にいるる場合など、提案しないことで気づかない間に機会損失をしているケースは多いと思います。提案してもらいさえすれば、まだまだニーズは隠れていると思います。まず大事なのは提案していただくこと。弊社ではプロの方向けの防音セミナーも行っています」(同氏)

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