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【インタビュー】実際に働く人に聞いた、ホームステージングの仕事の内実

ホームステージング・ジャパン
池田一野さん 吉田莉紗さん
ホームステージングインタビュー記事
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ホームステージング・ジャパン 吉田莉紗さん・池田一野さんホームステージング・ジャパン 吉田莉紗さん(左)・池田一野さん

 中古物件を売るための一つの手法として、家具やインテリアで物件をコーディネートする「ホームステージング」。中古住宅市場が活発化したことで、活用する不動産会も増えてきている。しかし、実際にコーディネートのプランをして現場で活躍するホームステージャーとは、一体どのような職業なのだろうか。この専門企業であるホームステージング・ジャパン(東京都品川区)で働く池田一野さんと吉田莉紗さんに、仕事のコツややりがいをインタビューした。

部屋をコーディネートして売れる物件に

――ホームステージングとは、どういったお仕事なのですか。

池田:物件を早く、高く、価格の下落なく販売するために、部屋をコーディネートする仕事です。部屋に何もない状態だと内覧に来た方にとっては生活のイメージがしづらいので、家具を置いたり装飾を施したりしてこんな家に住みたいと感じさせる演出をします。

吉田:依頼をいただいたらまずは現地調査に行って、その時点でどこにどういった家具を設置するかをイメージして、それで当社の倉庫に帰って実際に設置する家具を選ぶといった流れです。一週間から10日以内に設置できるように動いています。

 物件数でいうと、週に3~4件ほど搬入するので、一年で100件以上はホームステージングをしている計算になりますね。

――結構な数ですね!設置する家具や装飾というのは、物件によって大きく異なってくるものなのでしょうか。

吉田:そうですね。物件の価格や、現地調査の時に得られる周辺情報をもとにターゲット設定をして、もともとの部屋の内装の仕様、色味といった部分も配慮して家具を選んでいきます。

――例えばお子様がいる家庭をターゲットとした場合、具体的にどのようなステージングにしていきますか。

池田:生まれたばかりのお子様の子供部屋をステージングするのであれば、勉強机もシングルベッドもいらないので、ラグを敷いたり、ぬいぐるみを置いたりして、床ごろっと遊べるようなイメージですかね。

吉田:この部屋でどんな生活をしようかなと、お子様が大きくなった先の未来まで描けるようなステージングが理想です。あとは柄や色目もポップにしたりといった配慮もしますね。

ホームステージング・ジャパン 吉田莉紗さん

今より一つ上の生活をイメージさせるのがポイント

――特に、売れ残っている物件を購入につなげるのは大変だと思います。売れる物件にするには、どういったポイントが大事になってきますか。

池田:広く、明るく見せるのが重要です。百貨店のショーウインドウと同じ要素で、一方向から見たときに一番いいコーディネートをというところで、扉を開けた瞬間に見える部分のレイアウトを重視して演出をします。

 例えば扉をあけて部屋に入った時に、手前にソファーの背が見えていたら奥行きが邪魔されて狭く感じてしまうので、あえてテレビボードを外してソファーをいい位置に置くといった工夫をします。

――となると、キッチンの使い勝手といった実用的な部分などはあまり重要ではないのでしょうか。

池田:小物でおしゃれな食材とか輸入物のパッケージのものとかで華やかに見せたりはするのですが、包丁を置いて、まな板を置いて、鍋を置いてということはしないですね。生活感を感じさせないというところが。

吉田:小物も家具数もお部屋に対して多すぎると、モデルルームみたいに華やかに見えますが、そこに意識がいってしまい部屋のイメージが残りづらくなってしいます。ホームステージングはお家を売るための演出の一つなので、入った時の印象を高めるようなしつらえが大事なポイントです。

これまでの仕事とは違う、ホームステージャーに惹かれて

――吉田さんはホームステージャーになってどのくらいですか。

吉田:2年くらいです。もともとインテリアに興味があって、インテリアの専門学校に通っていました。そのあと一年間百貨店でディスプレイを飾るデコレーターをやっていたのですが、たまたま求人サイトを見ていたときにホームステージャーというお仕事を見つけました。この仕事ならこれまで得た知識と経験が全て活かせると思い、ホームステージャーになろうと即決しましたね。

池田:僕はアパレルの*VMDを6年くらいやっていて、そのあとにマンションリフォームの施工管理、家具の販売とやっていました。

*VMD:視覚的にどのようにお客さんを誘導するか、購買意欲をあげるかというマーケティング手法のこと。百貨店で見られる洋服のレイアウトなどの裏には戦略があり、そういった要素がホームステージングにはある。

 ホームステージャーという仕事は、家具の販売をやっていた時にホームステージングできますかと依頼を受けたことがきっかけで知りました。そのときは全く知識がなかったので、ホネットで調べてやってみたのですが、インテリアコーディネートとは違うのだなと、そこで初めて面白いなと惹かれましたね。

ホームステージング・ジャパン 池田一野さん

――これまで数多くの物件を手がけてきたと思いますが、その中でも心に残っている案件は?

吉田:実際に住んでいるお家を売りたいというお客様から直接の依頼で、住んでいる状態のままホームステージングをしたことがあったんですね。そうしたら二週間くらいで売れて、お客様からもすぐにお喜びのお電話をいただいて。直にお客様とのやり取りをしたお客様に喜んでいただけるなんて、こんなに感じられることはないなと思いましたね。

――池田さんはいかがでしょう。

池田:ホームステージングではなく、インテリアコーディネートの要素がある仕事の話なのですが、家の完成内覧会のために三日くらい家具を入れたいという依頼を受けて。それで家具の設置して、その状態を見ていただいたときに、ボロボロと涙を流して喜んでいただいたことがありました。オーナーさんが何年もかけてやっと建てた家というのもあると思うのですが、そういう反応はすごく嬉しかったです。

 これまでやっていたVMDのお仕事だと直接リアクションをもらうことって全くなかったので。ホームステージングは直接オーナーさんと関わる仕事で反応が直に伝わってくるので、その時はやっていてよかったと思える瞬間です。

――今後ホームステージャーになっていく方に向けて、仕事の面白さやメッセージをお願いします。

吉田:ホームステージングは、コーディネートして終わりではなくて、その先のところまで関わってやっていけるところが魅力だと思います。直にお客様と関係しているところがあるので、自分自身の成長にも繋がります。それと、体力は結構必要です...。

池田:新築の物件をホームステージングするとなると、エアコンもついていないこともあるので、サウナ状態の中で2時間3時間、汗だくになりながら作業しています。体力つけておいて!と言いたいです。

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