おうちのくふう 谷尾和昭 社長
今期売上50億円弱の見込み
くふうカンパニーのグループ会社であるおうちのくふう(東京都港区)は、買取再販事業を展開。わずか1年半で月間10戸、年間120戸の販売を手掛け、今期の売上は50億円弱を見込む。競争が激しい首都圏の中古マンション販売で急成長を遂げている理由を同社の谷尾和昭社長に聞いた。
【聞き手/報道部長 福田善紀】
事業を垂直立ち上げ
――なぜこのタイミングで再販事業に参入したのですか。
当グループには住宅・不動産サイト「オウチーノ」があります。グループオーナーの意向もあって、実際に物件を扱って総合的なサービスを提供することになり、買取再販事業をはじめることになりました。私は2年前、中古不動産を扱う「ベストランド」に在籍していたのですが、チームとして全員受け入れるという話だったので、部下10人と共に立ち上げました。
――経験豊富なメンバーでのスタートとはいえ、首都圏の中古物件を扱う競争は激化しています。どんな戦略で臨みましたか。
ターゲットは東京に接する3県で、買取基準は駅から10分以内、50平方メートル以上、2階以上。これが一番お客さまが望まれる条件です。
物件探しは「今日はこの駅」と決めて、営業マンはそこにあるすべての不動産会社を回ります。そして、毎日50件以上の物件を訪問して情報収集しています。不動産は仕入れで8割が決まると言われますが、地道な作業を泥臭くやり続けています。基本的に行ってない駅はありません。
5~10分で即査定
――よい物件が出たとしても価格が重要です。どのような買取・販売の方針を取っているのですか。
この地域のこの物件なら坪単価いくらというデータは持っているので、営業マンから報告を受けたら5~10分で簡易査定します。あくまでも一次査定ですが、買うかどうかはその瞬間に決めます。その後、実際に見に行ったり調査報告書に目を通したり、物件によってはリフォーム部隊を現地に連れていきます。最終判断を下したら、物件を買う可能性があることを相手方の不動産会社に伝えてすぐに行動に移します。物件を見つけてから買取までは、他社よりスピードがあると思います。
当社の販売方針は、世帯年収400万円でも購入できる物件。販売価格は3500万円前後が中心で、基本的に5000万円以上は扱いません。
――御社のリフォームの特徴は?
部屋が広く見えて清潔感があるので白を基調にしています。購入するかの決定権は奥様が握っていることが多く、これまでの実績からも白が一番人気です。また、部屋が明るく広く見えるので、照明はすべてダウンライトにします。また、エコカラットは必ず使うのですが、リビングの一面やトイレによく使用しています。フローリングは茶系が一般的ですが、当社は床も白系で、玄関と廊下は大理石調のタイルを使用します。タイルが反射すると部屋全体に反射するのでより部屋が明るく見えます。
部屋全体を真っ白な雰囲気にするのが当社のリフォームの特徴です。しかし、物件の3分の1はリフォーム中に売れます。その場合はお客さまの要望で床や壁の色を変えるなど、セミオーダーにも柔軟に対応します。なお、設備は10年保証。リフォーム費用の総額は約700万円です。
部屋全体を真っ白にリフォーム
今後3年で売上100億円へ
――販売は「オウチーノ」が中心ですか。また、仕入れから販売までの期間はどのくらいですか。
真っ先に「オウチーノ」に掲載しますが、営業マンが毎日50件回っているので7割は仲介不動産会社に決めてもらっています。残り3割がオウチーノ経由の直販です。
期間は仕入れの決済から販売の決済まで平均150日、リフォーム後だと100日前後です。これまで売れ残った物件はなく、赤字で売ったこともありません。スタートして1年半で月平均10件、年間120件を販売しました。利益率は粗利で12%前後。今期の売上は50億円弱の見込みです。今後3年間で今の2倍となる年間売上100億円が目標です。
――最後に、今後の方向性を教えてください。
拠点を増やさないと目標は達成できないので、どこかの主要都市に進出します。3年後240戸は達成できると思いますが、さらに長期で見た場合、今の買取条件だと物件数が限られるので、金額やエリアなど条件を変えてやっていきます。営業マンは年3~5人ずつ増やしていきたいですが、課題は人材確保。いい人材は取り合いになるので新卒社員の育成も考えています。

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