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全国2800社の工務店が加盟JBN

全国2800社の工務店が加盟 JBN

一般社団法人JBN
青木宏之会長
1066号 (2013/03/26発行) 20面
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JBN 青木宏之会長

一般社団法人JBN (Japan Builders Network) 青木宏之会長


プロフィール

平成18年青木工務店取締役会長就任。
平成21年8月一般社団法人工務店サポートセンター理事長に就任し、
平成24年10月には名称を工務店サポートセンターから一般社団法人JBNに改名。会長に就任。


「性能向上リフォームを推進すべき」

 工務店の全国ネットワーク、一般社団法人JBN(ジャパン・ビルダーズ・ネットワーク)。フローからストックへ住宅産業が移り変わる中、地域工務店の役割はどう変わるのか。青木宏之会長は「これから工務店は省エネ、耐震、バリアフリーといった性能向上リフォームを推進すべきだ」と語る。

5000社の団体へ

―――JBNは平成21年に「地域工務店の全国組織」を目指して発足して以来、着実に会員数が増えてきています。
 昨年だけで1000社増え、現在は全国2800近い会員がいます。私たちは国土交通省、林野庁に直結していますので、国の最新動向や補助金情報などがすぐに入ってきます。この点が大きなメリットになります。

―――どのような規模の会員が多いのですか。
会員の新築の年間平均受注棟数は10・4棟になります。リフォームは年間で約50件手掛けている程度。年商で言えば2〜5億円がボリュームゾーンで、地元では有力店といわれる方々が多いです。

―――全国組織としてさらに会員を伸ばしていく考えですね。
当面は5000社を目標にしています。また、今後はより積極的にメーカーや流通会社などの関連会社も増やしていこうと思っています。

注文は20万戸推移

―――国内の住宅ストックは5800万戸に上り、既に約800万戸近くも空き家があります。これからは新築よりも、リフォームに重心を置く工務店が増えてくるでしょう。
私は全国各地を回っていますが、工務店の中にはまだ新築が増えていくと思っている方もいます。現状、住宅の新設着工数は80万戸ほどですが、その中で私たちの会員が手掛ける注文住宅は、今後20万戸くらいで推移していくでしょう。市場規模で言えば4兆円にすぎず、ここだけ狙っていても限りがある。それに、ローコスト住宅を作るビルダーとの競争が激しくなってくれば、価格勝負となり、勝てなくなるでしょう。

―――これから地域工務店に求められる役割とはなんでしょうか。
4つあると思います。1つは新築。これは長期優良住宅レベルの性能を重視したものを作っていく。2つ目はリフォーム。3つ目が中古住宅流通です。中古住宅を購入した方にリフォームを提案したり、中古住宅をリフォームして販売したりするもの。会員の約7割が宅建を持っていますので可能だと思います。そして、4つ目が公共施設や低層事務所、コンビニなどの施設を木造で作っていくというものです。これらは工務店にとって新しいマーケットになります。

―――2つ目の「リフォーム」ですが、競争が激化しています。差別化を図るためには、工務店ならではの技術力を生かしていく必要があるでしょう。
まさに、「省エネ」「耐震」「バリアフリー」といった躯体をいじる性能向上リフォームを推進していくべきなんです。今後、このマーケットは大きくなっていくのですが、意外とまだ誰も手掛けられていない。例えば、長期優良住宅仕様のリフォームバージョンを工務店は提案していくべきです。国も特にストックの省エネ性能向上を推し進めたいわけですから、これから補助金はじゃぶじゃぶ出てくるのではないかと思います。

健康のために断熱改修

―――リフォームというと、いまだボリュームとして大きいのが水まわりや内外装のリニューアルになります。
この分野のリフォームはこれからも広がっていくかもしれませんが、例えばヤマダ電機などの大手量販店が参入してきていますので、価格競争になってくるでしょう。また、DIYが普及すれば、より価格重視になる。工務店は競争について行けず、負ける時代が来る。今でさえ、ネットで商品を調べれば最も安いものが出てきます。工務店はその値段で仕入れられないでしょう。だからこそ、工務店の強みを生かす躯体に関わる性能向上リフォームを推進すべきなんです。

―――最近は、断熱化などの省エネ改修がエコだけでなく、健康にも良いという研究が進められてきています。この「健康」という視点からの提案が普及のカギになってくるのではないかと考えています。
 断熱化すれば、脳卒中や心筋梗塞などの血管系疾患に効果があります。それにお年寄りは健康にはお金を出します。私も体を悪くしてから、自宅を断熱化したんです。築35年のビルの3階に住んでいるんですが、30坪分だけ自分のスペースとして区切り、窓にはインナーサッシを付けて、床、壁、天井を断熱化しました。さらに風呂場には暖房をいれて、ヒートショック予防もしています。3/11の2カ月前に完成したのですが、震災で暖房が使えなくなっても部屋が寒くなかった。朝でも16度くらいありますからね。

―――例えば、これから10年後という将来を考えた場合、住宅産業はさらに大きく変化し、工務店も新たな経営が求められてきそうです。
工務店は建てた住宅の改造、リフォームがずっと続いていき、新築以上に、そちらの仕事の割合がメーンとなってくるでしょう。1次取得者の30代の年収が上がらず、ローンが組めなくなってくる。組んでも35年間払い続けられないという破産者が多く出てくるという予測を立てている人もいます。新築は本当に資金のある人が建てるという時代になるかもしれません。リフォームも、中古流通も、公共施設の木造建築も、これらは未開のマーケットですが、地域工務店に求められる役割はこれらに変わっていくでしょう。

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