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MUSUBU、再販ビジネスで今期60億円 顧客に適した物件提供を追求

MUSUBU
石野智之 社長
1517号(2022/08/15発行)15面
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MUSUBU 石野智之 社長

MUSUBU 石野智之 社長

中古マンションの買取再販事業を展開するMUSUBU(東京都港区)の業績が好調だ。データ活用の徹底により、現在は東京都内を中心に年間160~170戸を販売。今期売上は前年度比二桁以上の伸びの60億円を見込む。中古マンションにこだわる理由やコンセプト、新規事業である「Wednesday(ウェンズデー)」について同社の石野智之社長に、話を聞いた。

個々の生活まで踏み込んだリフォーム

――20年前に、飲食の世界から畑違いの不動産、それも中古から入られたと伺いました。異色の経歴ですね。

はい、22歳からこの業界にいて中古マンション一本でやってきました。当時、リノベ再販事業は、いかに利益の高いリフォームをするかとか、すごく表面的なものが多く、見た目を綺麗にしましょうというのが主流。

この業界に入ったのも、飲食店のカウンターでたまたま声をかけていただいた会社の社長のところに行ったのがきっかけです。その会社で、未経験者第一号として中古マンション事業部に配属されました。その後、別の会社で10年間事業部長をやり、ここでも年間300軒くらいを扱って本格的に中古マンションに携わりました。

――御社の再販事業を見ると、リノベーションプランに「豊」と名付けるなど、手掛ける内容へのこだわりが見えます。

僕たちが行うのは、その中古物件を使い人々をいかに幸せにするか「生きるの真ん中を設計する」リフォーム。1日に家で過ごす平均時間が15時間48分あるなか、家は家族や恋人と接する時間も長い生活の中心です。だから、一人一人異なる生活を想像して、顧客に向けた動線や表面のデザインまで仕上げて提供します。人と中古マンションで、未来をより良い方向にしていきたい。それこそが、社会に対するリノベーションだと思っています。

――具体的に物件作りをどう進めていくのでしょう。

まず僕たちは、顧客ペルソナ(像)を作ります。たとえば、ファミリータイプの物件が現れたときは、この物件を誰に向けて作ることで最大の幸せを作れるのか。60平米の2LDKを作るとして、夫婦とお子様の生活を笑顔にするためには、一番家にいて工数の多い奥様に向けて物件を作る。その、奥様がどういう動線を描くことで幸せを作れるのかということです。僕たちがよくやるのは、キッチンからランドリールーム、リビングの動線をストレートにして家事工数を減らすプランニングをします。

1軒ずつミーティングをして、これはこんな方が対象で、その方々にはどんな機能や意匠が必要かを話し合う。僕もすべてのプランニングに携わり、設計担当とプランニングをします。大変ですが、一人一人の満足を作っていく意味で、一番こだわりが強いのが自分だと思っています(笑)。

MUSUBU 1軒ずつペルソナ像を作り、部屋作りを推進1軒ずつペルソナ像を作り、部屋作りを推進

テクノロジーで高める顧客体験

――ペルソナ設定をしっかりすれば、単価向上などのメリットはありそうですが、手間はかかりそうですね。

そのため、物件情報をいれると、物件の評価が自動で算出できるシステムを開発しました。物件購入判断のスピードを上げ、営業マン1人あたりの扱い物件数を他社よりも上げることができています。実際の物件の取得から販売までの期間は160日くらい。販売期間は平均2カ月、利益目安は約10%です。

――物件の質を上げることと効率化の両立を進めるということですね。加えて、昨年末からスタートした中古マンション売買プラットフォーム「Wednesday(ウェンズデー)」とはどのようなサービスでしょうか。

これまでのネット検索で物件を探すものとは一線を画す、顧客に正しい情報で物件を提供するものです。大きな特徴は、テクノロジーを活用した物件検索と、お客様一人一人に専門的な課題解決ができるコンシェルジュがつく点。大手不動産出身者が物件の不明点に答え、ファイナンシャルプランナーがローンを、一級建築士がリフォームの相談に乗ります。買主は仲介手数料がかからない点も特徴です。

――本当に顧客に適した物件をテクノロジーとアナログサポートで提供していくわけですね。これからどれだけのユーザーに使ってもらえるかがポイントになりそうですね。

会社内でメディア運営もしていて、多様な暮らし方の発信を精力的にしていくべく、3年間でユニークユーザー数月間250万を目指します。顧客から買い取るサービスの提供も、ニーズがたくさんあるはず。顧客が持つ物件を入力すれば高く早く買う事業者さんに届くプラットフォームも同時に提供していきたいですね。

(聞き手/報道部長 福田善紀)

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