有料会員登録で全ての記事がお読みいただけます

三協立山、今期建材売上1930億円へ

三協立山、今期建材売上1930億円へ

三協立山
奥谷和正執行役員 住宅事業部長
1526号(2022/10/24発行)5面
このエントリーをはてなブックマークに追加

三協立山 奥谷和正執行役員 住宅事業部長

三協立山
奥谷和正執行役員 住宅事業部長

三協立山(富山県高岡市)は、新築需要の頭打ちなどあるなかで住宅建材事業の業績拡大を狙う。住宅事業者ごとに細かい提案を行う営業戦略で約2割の売上向上に成功。商品戦略としては、自然災害対応商品の販売数が伸びるなか、アルミ樹脂複合サッシ「ALGEO(アルジオ)」の拡販を進める。業績アップに向けた社内外での取り組みや今後の戦略について、奥谷和正執行役員住宅事業部長に聞いた。

営業利益アップと値上げにより浮揚を

――2022年5月期の建材売上1821億円のうち、住宅事業の売上割合はどのくらいでしょうか。

住宅事業の売上規模は三協テックとの連結で約40%となっています。リフォーム関連でいいますとリフォームサッシ等の専用商材は前期比約120%の売上です。新築市場が頭打ちで建て替えも抑えられているなか、リフォームの需要が高まっています。

――今期の建材事業売上計画1930億円のうち、住宅事業の売上の見通しはいかがですか。

売上ボリュームは計画に近いところで推移していますが、営業利益がなかなかついてきていません。原価高騰の価格転嫁が上手くできてないところはあります。大幅にコストアップしているため、11月に再度の価格改定を行いますが、それらも踏まえてなんとか達成したいと思っています。

全国の店舗ごとに「行動できる分析」を徹底

――売上達成に向けた具体的な施策を教えてください。

まず、生産合理化と経費削減をしていきます。出窓などの低頻度品は切削器で作っていますが、手間や材料コストもかかるので、1つの工場に集約し人員を25%削減して専門部隊にする。多能工化が図れ、スペースの有効活用も可能になります。

あとは、取り引きするお客様の店単価を上げるために、店ごと、商品ごとにマニュアル化をしています。営業マンは、日々問い合わせに売上、書類にクレームにと追われているなかで、どこに営業エネルギー配分を集中させるかをコーチングしないと、なかなか数字には結びつかないので。

――各エリアに応じたマニュアル化とは興味深いですが、実際に効果は出ていますか。

営業所ごとに、どの担当者が商材を決めているかとか、他社の色があまりついていないところがどこなのかを探り、狙いを定めていきます。その後、流通さんと連携し、担当者の性格や趣味まで掘り下げて提案していくのですが、営業獲得の成否を洗い出す手順のようなものを作りました。

この取り組みを始めて3年ですが、施策の一丁目一番地として行い、売上は約2割伸びました。住宅事業部で全国をカバーするファイルを作って、定期的に打ち合わせをしながら更新し、行動につながる分析になるよう専任の女性社員を置いてマニュアル化しています。

――マニュアル化はされつつも、現場単位ではアナログな取り組みをされていますね。エリア戦略は営業所ごとで決めていくのですか。

営業は、1つずつクリアにしていくことで進捗も見えるし、できなくても、次にどうしたら良いかが見えてきます。分析も、次の行動に繋がらないと意味がないので。

各エリアの住宅事業者のシェアをもとに、各営業所で3年後にどう伸ばすかという絵を描いてもらう。その数字それぞれの拠点でどういう伸ばし方をするのかというのを落とし込み、整理して目標管理する。

そして、流通さんと連携しながら、工務店の利益につながるかどうか、店ごとにどう攻めていくかについて戦略するわけです。

実態にあった体制と効率化で勝ち抜く

――営業の最前線となる支店は、中期経営計画で広域支店体制をとる方針を出されていました。その目的は。

支店長を減らしていくのですが、その理由は代理店も広域にわたっているので、現場を知らない本社がさわるのではなく、エリア戦略として現地をよく知る支店長の裁量で人を動かせるようにしたのです。

ただ、さすがに一人では見きれないので、副支店長と一緒にやってもらう体制にしました。

――商品としてはどれに注力していますか。

アルミ樹脂複合サッシのアルジオを推しています。断熱性と維持管理、基本性能を合わせた総合力がある。樹脂サッシは、断熱には強いけど災害の対応力はどうなの? と考えている方がいらっしゃるなか、同商品は災害に対して強靭力を備えた商品でもあります。

例えば住友林業の東海エリアでは、家は国民の生命と財産を守るのが第一という観点からお客様に提案されていて、シェア7割を超えて使っていただいています。こうした実績もあるので水平展開していければという考えです。

――リフォーム市場への取り組みは、今後どのように進めていくのでしょうか。

一般流通、販売施工を行う三協テック、地域のリフォームショップ一新助家、それぞれの店単価を上げること。露出度を高めて、お客様とのファーストコンタクトをどう高めるかというところに注力していきます。加えて、流通店さんと施主さんをどうつなぐかのお手伝いを誘導していかないといけない。

建材店や管材ルートもリフォームに参入していますし、三協テックの施工能力をサービスとして販売する仕掛けもしていきます。そのために、施工力や職人の確保にも努めていきます。

(聞き手/報道部長 福田善紀)

毎日ニュース配信中!リーフォーム産業新聞公式LINE

リフォーム産業新聞社の関連サイト

閉じる