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渡辺パイプ、売上高4000億円突破へ

渡辺パイプ、売上高4000億円突破へ

渡辺パイプ
渡辺圭祐社長
1554号(2023/05/29発行)11面
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住設・建材流通大手の渡辺パイプ(東京都中央区)は、2022年度のグループ売上高は前年度比114%の3832億円、経常利益は前年度比114%の148億円と増収増益だった。住建事業の売上も前年度比121%の1100億円と2桁伸長。今期はグループ売上高4000億円突破を視野に入れる。「課題は、人材の採用、育成、定着。向こう3カ年で社員の年収15%アップを目指す」と明言する渡辺圭祐社長に、今期の戦略や課題について聞いた。

ネットワーク力生かし顧客とのつながり強化

物流と営業の分離に強み

渡辺パイプ 渡辺圭祐社長渡辺圭祐社長

── 前期はグループ全体として計画値を大きく超えました。その要因は何でしょうか。

おかげさまで、グループ全体で3800億円超と計画値を200億円ほど上振れました。増収の内部要因は営業所の新規出店と顧客の新規開拓、外的要因はサプライチェーンの正常化とメーカー各社の値上げです。粗利率としては若干下がったものの、主要各社が1割以上の値上げをした効果で売り上げも予定よりも増えました。

── ほかに強化した点としてはどんな点がありますでしょうか。

営業所からの配送に加えて物流子会社「セディアトランスポート」を作って7年になりますが、基本的に大都市圏はそこから運んでいます。自社物流の比率が高く、そこで他社との違いが出せていると考えています。

── 営業マンが自ら配送というところから、物流と営業の切り分けに向かっているのですね。

今も、地方では営業マンが自ら運ぶスタイルですが、大都市圏では営業と配送の分離をやっています。良かったのは、営業マンが営業に集中できるんですね。運ぶ力としても、既存を拠点にして運ぶので追加投資なしでやれています。ラストワンマイルの配送ができているのが一番の強みだと思っています。

3カ年で社員年収15%増へ

人材の採用、育成と定着が急務

── ただ人材確保は難しいのではないですか。

そうですね、やはり課題は、人材の採用、育成と定着です。昇給は今期のテーマでして、今期からの3カ年で社員の年収15%アップを掲げています。前期も5%以上上げていますが、さらに加速していきます。そうした昇給や人事制度の改定、本社の公募で営業所から本社への異動制度など、社員のモチベーションに応える制度改定をしていきます。人数としてはグループ全体で5600人ほど社員がいますが、今後は新卒の採用増と退職減で、毎年300人ずつの純増を目標にしています。

── 今期の売上目標と、そのための戦略を教えてください。

グループ全体で売上4000億円、そのうち住建は1170億円を目標にしています。そのために今期も引き続き20カ所以上に営業所を出店し、新規開拓についてはたとえば鳥取県米子市などといった空白エリアへの出店とネットワーク力を生かして、点を面にしていく。営業所間はもちろん、同じ営業所内での水道・電気・住設間の業態関連系で顧客の紹介や案件情報の共有などを仕組み化していきます。

あとは、顧客とのデジタルでのつながりの継続。住建部門では公式LINEアカウントを作っており、今期はID数5000増を目指しています。そこで、エリアでのイベント情報やオンラインセミナー、メールマガジン、エリア特価情報などを発信していく。私どもの出す情報に反応いただいた顧客を優先的に攻める、ヒット率の高い営業をしていきます。

「変化球」と「トレンド」を提案

── 新築事業が厳しい状況で、他の流通も必死だと思います。対抗策を教えてください。

マニアックなものや変化球を投げ続けて、各リフォーム会社がその先のエンドユーザーにいろいろな提案ができる支援ですね。商品軸での差別化や商品数の多さは、われわれの強みです。

新たな取り組みとしては4月に開催した「ミラノサローネ」に社員3人を派遣しました。そこで出てきた話とメーカーさんを結びつけて、トレンドはこうですよというのを自分たちで打ち出して提案しています。メーカーではなく、流通がそれを行うことに意義がありますし、いろいろと組み合わせて、これをぜひ施主さんに提案してほしいということです。始めたばかりで未知数ではありますが、常に差別化しようとやっています。

── 今後はどのように売上を伸ばしてく考えでしょうか。

基本は新規の開拓です。前期は1万1000社を開拓して、結果的に既存と両方とも伸びたのが良かったと思います。いろんな業態を重ねてきて、商圏人口が30万人より狭い都市でも、水道や電気、住建の営業所と細分化して出店できるかなというのと、同じ住建でも、住設や建材を売るだけではなく、エクステリアやサッシのチームを作るなど深掘りができる。まだまだ出店の余地があると思っています。

業界の課題は人材不足と配送、施工の問題です。そこをさまざまな機能でカバーし、施工までを何かしらできないかと思っています。立ち返りますが人材の採用、育成と確保、ネットワーク力をさらに生かして顧客とデジタルで一層つながるのが重点方針ですね。

会社概要
会社名 :渡辺パイプ
本社所在地 :東京都中央区
従業員数 :4319人(2023年4月現在、単体)
5606人(2023年4月現在、グループ全体)
グループ売上高 :3832億300万円(2023年3月末)

この記事の関連キーワード : インタビュー ネットワーク 人材確保 住設建材 渡辺パイプ

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