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太陽光発電量の低下防ぐビジネスモデルを実現

太陽光発電量の低下防ぐビジネスモデルを実現

太陽光サポートセンター
川名英二社長
1037号 (2012/08/21発行) 9面
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太陽光サポートセンター 川名英二社長

太陽光サポートセンター 川名英二社長

定期メンテナンスで売電トラブルを限りなくゼロに

太陽光設置後のメンテナンスをしてくれる企業がない」--。そんな発見から太陽光サポートセンター(東京都港区)は誕生した。次第に低下する発電量の数字をできるだけ抑制し、いち早く不具合を見つける同社のビジネスモデルについて、川名英二社長に話を聞いた。

設置後の不安がビジネスに

 ―――御社は東証一部上場のガス事業社、シナネンの子会社として設立されましたが、立ち上げのきっかけは何ですか。
2年ほど前に私が自宅に太陽光を載せたのがきっかけにです。太陽光は10年保証が付いていて安心と聞いていましたが、自らの家に付けてみて初めて、色々と不安があることを実感したのです。売電量はわかりますが、正確に発電しているかどうかがわからないですし、発電量を周りの人と比べることもできない。そこでこれは商売にならないかなと思ったのです。

 ―――親会社のシナネンでは太陽光の卸をしていますよね。最初はやはり販売のサポートとしてメンテナンスを行ったのでしょうか。
最初はそのように思っていたのですが、要望が多く、メンテナンス部分だけを切り離して法人化しました。例えば太陽光モジュールは各メーカーとも10年保証や20年保証がありますよね。その保証は公称最大出力に対して約80%を基準として、80%切った場合にはメーカーの保証適用となっています、でもその80%を切っているのかどうかは誰が調べるのでしょうか。実はエンドユーザーの方々には調べようがないのです。

要は私どもが推奨している点検では、特殊な機械を使って出力の数値を取っていくのですが、そういう機械をエンドユーザー自身で買うのはありえなく、また、梯子を使って屋根にのぼり、自分のところの太陽光が「大丈夫かな」なんて見る方はほぼいらっしゃらない。となると、売ったところが定期点検すればいいのですが、やっているところがほぼありません。そこでそうしたお客様のサポートをアウトソーシングで請け負うのが私どものビジネスです。

 ―――出力保証についてですが、出力の低下をユーザーが調べる手段はないのですか。例えば、売電量を示すパネルに異常が表示されるなど。
今、太陽光の販売数が100万件を突破しましたが、何もないのです。唯一の方法としたら、機器を外して調べてくださいって言うしかないですよ(笑)。

 ―――じゃああまり保証の意味ないですね。
電力会社から来る請求書とかモニターを見て明らかに発電していないなという時に初めて、「何かおかしい」となります。しかし、太陽光はパソコンやテレビと違い電源のオンオフなどを自身でいじれないので、不具合があるかどうだとか、発電がきっちりなされているかという判断は難しいのです。設置1年目は皆さん、取り付けてから間もないので毎日モニターを見たり、電力会社からの請求書を楽しみにしたりするかもしれません。しかし3年、4年と経つにつれ、見なくなる方が多いと思います。でも今後、過去にどのくらい発電したのだろうとふとした時に見たとき、「元々これくらい発電するって言ったにもかかわらずトータルで計算してみたら全然足りてない」といった売電トラブルが間違いなく出てくると思います。それを私どもとしては定期的な点検をすることで、トラブルをゼロにすることはできなくても軽減をするお手伝いはできるんじゃないかと考えています。

 ―――具体的にはどんなトラブルで発電量は低下するのですか。
年数が経つと花粉だとか鳥のフン害、黄砂、場所によっては火山灰、こういったものが、車の排気ガスに入っている油分などが接着剤代わりになり、こびりつきます。当然、そうしたものが積もり積もっていけば発電量は間違いなく低下していきます。発電量は毎月必ず上がるものではなく、下がっていくものなので、下がる角度をより緩やかに、お手伝いするのが私どものサポートなのです。

 ―――例えばメンテナンスを一切しないとすると、地域などにもよりますが、どのくらい発電量が落ちる想定なのですか。
どのくらいと言ってしまうと問題になる部分もありますので、その発言は控えますが、正確に言えるところは、上がることは絶対にない、維持できることは100%ないということです。

 ―――どのように発電量の低下を軽減していくのでしょうか。
少なくとも3年、4年に1回はパネルを洗い、汚れの蓄積を取り除いていくことです。例えば車は新車の輝きを保つポリマー加工などがあるじゃないですか。でも1回塗ったからといって10年間輝きますなんて宣伝は一切なく、半年に1回、1年に1回はメンテナンスをしてくださいとなっています。パネルも同じことです。いくらコーティングがしっかりしているパネルでも、定期的に汚れは取っていかないとだめです。メンテナンスをしないとちゃんとした性能の発揮はできません。

 ―――機器の劣化によって発電量は毎年数%ずつ落ちていくと言われていますよね。
そうですね。あとこれだけ大気汚染がありましたら当然、発電量に影響します。今、一番の問題は黄砂ですね。私は黒い車にのっていますが、雨では絶対落ちないですよ。飛散量の多い時期は車の色が変わっています。ほかにも鳥の巣や、葉っぱなどが積もることもあり、10年間誰も見ないというのはおかしいですよね。

10年の間に3回訪問

 ―――実際のサポート内容はどんな形ですか。
サポート10年間になっていましてその間に通常3回行う洗浄・点検・計測、それと毎月のお客様のデータ管理、何かあった時に連絡をもらうコールセンターの5つです。まず洗浄し、その後パネルを奇麗にした状態で計測をして、正確なデータを出します。加えて目視の点検です。パネルと屋根の間にゴミや鳥の巣がないかとか、がたつき、緩み等がないかなどを確認します。そして顧客データの管理としてはお客様の方から毎月1回、発電量の情報を弊社のサーバーの方にアクセスし、入力していただくことで、近隣地域の発電量データと相違がないか見ることができます。この数字に著しく違いがでていると、どこかおかしいとわかるわけです。定期的な点検と毎月の発電データの入力により、安心して管理ができます。


会社概要
本社 * 東京都港区 / 設立 * 2011年4月1日
株主 * シナネン(東証一部上場) / 資本金 * 1000万円 / 代表 * 川名英二氏
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