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毎年10%増収で4、5年後に1000億...

毎年10%増収で4、5年後に1000億円へ 住友林業H

住友林業ホームテック
髙桐邦彦社長
1118号 (2014/04/22発行) 6面
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住友林業ホームテック 髙桐邦彦社長

住友林業ホームテック 髙桐邦彦社長

「プラチナ工務店」、「マイスター大工」で職人不足に対応

売り上げを毎年10%ずつ伸ばし、今後4~5年で1000億円を突破したい―――。こう話すのは住友林業ホームテック(東京都千代田区)の髙桐邦彦社長。2010年4月に社長に就任して以来、木造住宅改修技術を生かし、高額なリフォームの受注に成功。年々売り上げを伸ばしている。

売上高6億円間近に

 ―――消費増税の駆け込みなどもあって、2014年3月期の業績は好調だったようですね。 
 現在集計中ですが売上高596億円という計画の達成は固いと思います。特に上期の受注が良く、受注金額の構成比をみると5割が1000万円以上。これは消費増税の駆け込みが早めに来たためです。通期では受注が前年を下回ったのは2月だけで、全体として好調でした。

 ―――2013年3月期の売上高は530億円ほどだったので、10%以上の増収になります。社長就任以来、着実に売り上げを伸ばしてきています。
 2010年4月に引き継ぎ、この春で5年目。引き継いだ当時は売り上げが370億円くらいでした。今期も前年比10%の増収を計画しています。毎年売り上げに1.1ずつかけていって、今後4〜5年で1000億円を突破したい。2020年には社員数2500人、拠点100を目指しています。

高額リフォームに強み

 ―――ホームテックではOB以外のリフォーム部門を「カスタマーズ」、住友林業OBのリフォームを「オーナーズ」と分けています。それぞれ売り上げの内訳はどうですか。
 2013年3月期の数字で言いますと、カスタマーズとオーナーズがそれぞれ約5割。一時期カスタマーズが7割ありました。割合は減りましたが、最近はまた増えてきています。

 ―――カスタマーズの受注単価はどれくらいになりますか。
 2014年3月期の上期実績でいいますと500万円以上が87%弱、1000万円以上が約72%。平均単価は760万円でした。消費増税の前倒しで受注できたものは大型が多かった。オーナーズの方は約184万円ですね。

 ―――一般的なハウスメーカーのリフォーム経営と異なりますね。普通はOBのリニューアル工事やメンテが売り上げの大半を占めますが、ホームテックの場合、他社の住宅から高額なリフォームの受注に成功しています。
 他がやっていないものといえば、「旧家リフォーム」もそう。前期は約55億円の受注です。旧家というのは昭和25年の建築基準法施行以前に建築された家。リフォームの平均受注単価は2000万円で、年間250件ほど手掛けています。

 ―――「温故知新」という旧家リフォームのカタログには、築180年の住宅を再生した事例が載っています。昨年の6月には「百年のいえ倶楽部」というグループも作っています。
 旧家を持つ計画のある方や既にリフォームされた方が入れる会員組織です。リフォームや耐震に関する情報発信をしています。260人以上に入っていただき、会員の方から6億円くらいのリフォームにつながりました。旧家は相続や法的な問題で改修するのが難しいところもあって諦めざるを得ないこともありますが、直す価値のない家はないと思います。 

「旧家」再生は同社ならではの技術力を生かした事業
「旧家」再生は同社ならではの技術力を生かした事業

500人超の営業マン

 ―――600億円という売り上げを生み出すための原動力は人材でしょう。現在はどれくらいの社員数になりますか。
 今の社員数は1581人(2014年3月1日時点)。今年4月には43人が入社し、15年4月には新卒72人の採用を計画しています。また、70人くらいの中途採用もする予定です。

 ―――営業担当は何人くらいいますか。
 営業担当が527人。さらに内訳を言いますと、カスタマーズが267人で、オーナーズが214人になります。その他、統括課長などがいます。それとは別に、施工管理が255人、巡回点検を行うメンテは315人います。

 ―――メンテナンス部門のスタッフも多いですね。
 年間3万5000件ほどのリフォーム工事がありますが、半分はメンテ工事になります。

 ―――現在の拠点数はいくつありますか。また今後の展開についてはどう考えますか。
 今は72拠点あります。2013年度はあまり出していませんでしたが、今期は出しますよ。4月には徳島支店、そしてマンション部門は東京だけでしたが、大阪に出す。下期には名古屋にも。細かなエリアはまだ言えませんが、9カ所出します。

 ―――さらに売り上げを伸ばしていくとなると、出店もそうですが、組織体制がより効率的になっていかないといけないですね。
 これまで東、西、東海に各事業部というものがあったのですが、これを廃止します。7年間地方の郡県制だったものを本社直轄で72拠点を見るようにします。組織がフラットになった方が社内統制上まとまりやすいし、スピード化が図れる。

 ―――各拠点でどんな営業体制になっているのでしょうか。
 大体20人くらいで最低でも5億円の売り上げ計画です。1人統括する者がいて、営業が8人くらい、工事が3人くらい、メンテが5人くらい。その他、事務、CADというような体制です。

耐震と制震のダブル工法

 ―――前回インタビューした際には、今後の重点分野として、"木造"の住林がマンションリフォームにチャレンジしたいと話していました。
 マンション営業部門は3年目になりました。2011年度は7億円でしたが、この3月は、17億円くらい。今期は21億5000万円を計画しています。この分野は伸び率としては高い。バブル期のマンションが増えてきているし、中古マンションの流動性は高い。2020年には専有部分で100億円、共有部分で100億円を目指しています。

 ―――また、木造のプロとして、耐震改修にも力を入れていくようですね。
 大型物件についてはほぼ100%、耐震診断をやっています。工事につながるのは25%くらい。今期は50%にしたい。それと耐震と制震を組み合わせたタブル工法を進めていきたい。耐震補強をしたうえで、プラス制震するのはそれほどコストがかからないですし、非常に効果が高い。補強したお客さんからは「地震が来てもまったく揺れない」と喜ばれています。

 ―――1000億円に向けて、課題はなんでしょうか。
 ひとつはうちの仕事に詳しい大工と工務店をどれだけ作っていけるかということです。うちにはロイヤリティーの高いパートナーシップをもつ「プラチナ工務店」が50社、「マイスター大工」が100人います。パートナーには最優先で仕事を任せ、年間を通じて安定的に協力してもらう。プラチナ工務店にカスタマーズの4割強をやってもらい、そしてその比率を上げていく。1人1億円やってもらうのが目標です。

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≪髙桐邦彦社長プロフィール≫
1957年生まれ。1981年4月住友林業株式会社入社。2007年4月木材建材事業本部イノス事業部長。2010年4月住友林業ホームテック㈱代表取締役社長に就任。2011年6月執行役員住友林業ホームテック㈱代表取締役社長。2013年4月常務執行役員住友林業ホームテック㈱代表取締役社長。現在に至る。
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