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LIXIL 潜在市場掘り起しリフォームを国内事業の核に

LIXIL
LIXIL 白井春雄 取締役 副社長執行役員 LIXILジャパンカンパニー社長
1125号 (2014/06/17発行) 5面
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LIXIL 白井春雄 取締役 副社長執行役員 LIXILジャパンカンパニー社長

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白井春雄 取締役 副社長執行役員 LIXILジャパンカンパニー社長

3年前、トステム、INAX、サンウエーブ工業など5社統合で誕生したLIXIL。最近は、アメリカン・スタンダード、グローエなどの海外企業の大型買収で市場の話題を集めた。だが今後、少子高齢化が進む国内市場では、リフォームマーケットの攻略が最大のポイントとなることは間違いない。同社で国内営業を統括する白井春雄LIXILジャパンカンパニー社長に、その戦略を聞いた。

ネットワークの中身を充実

 ―――グループの中期経営VISIONでは、国内2兆円、海外1兆円、計3兆円の売り上げを計画されています。そのうち国内事業の核となるのはリフォームですよね。
 その通りです。まず、このたび発表しました2016年度の中期経営計画では、LIXILグループ全体で現状のリフォーム売り上げ2800億円を3700億円まで引き上げます。これによって住宅事業におけるリフォーム売り上げ比率は26%から34%に高まる見込みです。

 ―――御社のリフォーム事業でまず第一の担い手となるのが、業界最多となるFC・VCネットワークでしょう。加盟店・登録店を軸にしたリフォーム訴求をどのように考えていますか。
 2014年3月末時点で、FCが380社、VCが1万200社となりました。リフォーム組織を統合して2年。まだ、数を増やすことも続けますが、14年度は中身を充実させていきます。

 ―――具体的にはどんな内容ですか。
 例えば20年以上前から、ホームウェルFC店で展開してきたリノベーション「新築二世」の受注増です。現在、年間約730棟の実績ですが、これを2015年度に1000棟まで伸ばします。

 ―――売り上げベースで言うと、どのくらいの実績になりますか。
 平均単価は約1200万円ですのでFC全体で年商90億円弱です。これは、2010年度と比較すると約3倍強の数字です。国も長期優良リフォームで、性能を良くしようしているじゃないですか。今後、新築が減る中では、中古流通でもリノベーションが出てくるので、ビルダーさんを中心に積極的に取り組みを推奨していきます。

 ―――FC店には元々水まわりが主体のライファ店もありますが。
 もちろんリノベーションに関してもホームウェルの専売特許ではなく、ライファ店でも取り組んでいけるようにしようと考えています。

独自の教育制度を開始

 ―――一方で、リフォームの主戦場は小工事のリフレッシュです。その分野の施策としては。
 流通店さんと一緒になってVC店への支援を強化していくことはもちろん、潜在需要を掘り起こすためにも流通店さんを含めた工事機能の強化が課題です。

 ―――VCの工事店だけでなく、流通の方も対象にして研修などを行っていくということでしょうか。
 リフォーム部隊を統合してから、教育体制の整備を図ってきました。そして今年4月1日にできたのがLIXILアカデミーです。流通店、その先のリフォーム店などに経営者研修、次世代教育といったマネジメントから、営業マン教育、職人教育等を行う機関です。私どもの商材を扱う職人さんなどは、預かって教え込みます。

 ―――研修は定期開催ですか。
 定期ではなく、有料ですが個別申し込みごとです。工事はサッシの取り付け工事やエクステリア工事など。将来的にはもっと職人教育を行っていく。

 ―――「リフォームを贈ろう。」のキーワードでTVCMにも力を入れていますね。リフォーム振興策として究極は、そうしたサポートによる需要の活性化でしょうか。
 そうですね。4月からCMを流して、全国のショールームでフェア第1弾を実施している最中です。これから、第2弾も継続してリフォームをPRしていきます。CM、ショールーム、CM、ショールームと1年間、空中戦と地上戦の両方をやっていく。
「リフォーム=LIXIL」というブランド・環境をつくり、お客さんをサポートしていきます。あとはリフォーム用商材を積極的に出していきます。

 ―――すでに、一部リフォーム用商品は投入しています。玄関ドアのリシェントなどは大分売れているようですね。
 リフォーム用の玄関ドアは、業界3社全体で年1万セット弱と推測しています。その半分近くを占めます。昔の高さ1800㎜程度の玄関ドアが、2000㎜を超えるわけですよ。そうすると、家の全体イメージがガラッと変わります。それが1day(1日)でできるのは大きい。

 ―――工事期間が短くて済むことは、施主さんにとっては大きな魅力ですね。
 ドアに限らず1dayに近いものをもっと作るべきだと考えています。そこで一部屋断熱リフォーム工法の「ココエコ」も改良して石膏ボードと真空遮断材を一体化しました。現場で、石膏ボードを切らない形にしたので、汚れない。騒音や粉じんをほとんど気にすることがなくなりました。

 ―――施工性を向上して、施主やプロの現場負担を軽減する考えですね。一方では、プロの作業効率化という意味では、見積もりシステムなどのサポートも重要です。
 見積もりやプレゼン資料作成が簡単にできる「いいナビ」というシステムを8月に新しくする予定です。他社と比較して遅れている部分を改善して一気に業界最上位クラスのシステムへと進化させます。

ショールームは96カ所に 

 ―――消費者接点の要となるのがショールームです。現在、ショールーム数はいくつになりましたか。
 96カ所です。統合した総合ショールームがほとんどになりました。元のショールームは100坪ぐらいですが、統合後は200坪や300坪など、一定以上の大きさがあります。

 ―――LIXILさんの強みは、木建やサッシもすべての商材を持っているところですよね。それがショールームで具現化されている。大型リフォームまで1社でほとんど対応できてしまう。
 商品だけではなくサービスということで言えば、SS構造体バリューという耐震の設計サポートもやっていますし、JHSという地盤調査会社もある。さらに、グループ会社にはERAという不動産流通もあり、活性化している中古住宅流通の中で発生する瑕疵保険、インスペクションや家歴などもサポートするのがメーカーの務めだと考えています。

 ―――施工力の面でのサポートも、今後ますます重要になってくると思いますが、LTS(LIXILトータルサービス)はどのくらいの施工体制をもっているのですか。
 当社が販売している商品全体量の半分ぐらいはこなせる体制があります。ハウスメーカーさんや大手リフォーム会社は、スペックインしていますよね。二次スペックが流通さんだったりするわけですよ。だから工事力をもっていなくてはいけないのです。

 ―――最後に、リフォームマーケットに対するメーカーとしての役割をお聞きします。
 リフォームを本格的に取り組んでみて良くわかったのは、顕在的な新築と比べ、リフォームは潜在的な市場だということです。それを掘り起こすのが私どものミッションです。流通店さんはそこを刈り取ってもらう。政府に対するロビー活動もメーカーの仕事でしょうね。社長の藤森は建産協の会長になりましたし、私もサッシ協会の副理事長です。いろいろなところから国と接点をもち、ロビー活動をして予算を確保する。
 加えて、インプラスのような施主が欲しがる商品を連続して出し、商品軸で市場を作る。そして、どんどんプロモーション活動を行い、お客さんを呼ぶことですね。

リフォーム事業売り上げ推移
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