JBN 青木宏之会長
工務店は新築を専門に追うな――。2600社の工務店ネットワークJBN(東京都中央区)の青木宏之会長は、これまでの新築依存の工務店経営を変える必要があると話す。特に既存住宅の性能を向上させるリフォームスキルを高めていくことが重要と語る。JBNでは今後さらにリフォーム事業のサポートを強化していく方針だ。
注文は20万戸時代に
―――増税後の地場工務店はどのような状況なのでしょうか。
増税前はミニバブルで忙しかった。ただ、職人不足と値上がりをまともにかぶってしまった。だから儲かって景気がいい、っていうことはなかった。そして今は冷え込んで「仕事がない」というところが出てきています。警戒しているのは倒産。資金を借りてぐっと新築をやって、売り上げが落っこちて、銀行に引き揚げられるようなことがあったら、黒字倒産みたいなのがでてくるでしょうね。地獄なのはこの夏以降。
―――今年度の新築着工戸数はどう予測しますか。
これはわからない。ただ、戸建て注文住宅は30万戸くらいでずっときている。これがいつかは20万戸時代になるでしょうね。さらに大工工務店の廃業が増えて、職人も少なくなってくる。そうなると注文住宅のマーケットは小さくなるのかもしれない。
性能向上改修に商機
―――となると、工務店は新築中心の経営から転換が必要となってきます。
工務店には「もう新築は専門に追うな」と言っている。カリスマ工務店ならいいけれど。
―――これからの時代、工務店にはどのような経営が求められるのでしょう。
ずっと言っているリフォーム。工務店はこれまでリフォームを片手間でやっていた。だからリフォームに本格参入してほしい。特に性能を上げるリフォームはブルーオーシャンだ。
―――どんなサポートを行っていくのか。
今年からは国の補助事業にあわせて長期優良住宅のリフォームバージョンの講習会を実施していく。これまでは、「構造」、「耐震」「省エネ」の講習会をおのおの20回ずつくらいやってきましたが、今年は長期優良化リフォームとしてやっていく。できるだけ参加してもらい性能リフォームができる工務店の裾野を広げたい。
―――その他にはどんな支援をしていきますか。
国が進めているリフォーム事業者認定団体登録制度に入る予定。これで国のお墨付きがもらえる。それと省令準耐火構造のリフォーム版を住宅金融支援機構と作っています。省令準耐火構造にすると火災保険、地震保険などが割引きになるというものです。
宅建業者とのコラボも
―――最近は「中古住宅流通」事業への後押しもしています。
今2600社の会員がいて、4割くらいは宅建免許を持っている。
―――工務店自らが中古住宅流通に取り組んだり、また宅建業者との連携を図っていくことも重要でしょう。
手段として宅建業者とのコラボを考えています。
―――工務店はこれまで新築を作ってきましたが、これが中古市場ではなかなかきちんと評価されない。このような既存住宅の評価も問題になってきていますね。
今のままでは長期優良住宅だろうと、25年経てば建物の価値はゼロ。100年持つ住宅を!と建てたのに価値がゼロになる。でもアメリカは銀行が評価する仕組みがあるので資産になる。こういう事情を若い人たちに知ってもらいたい。今は日米不動産協会の方に委員会に入ってもらったりして、勉強の機会をつくっている。

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