リアンコーポレーション 五嶋伸一社長
元々リフォーム会社でありながら、営業1人で新築住宅を年61棟販売した信じられないような会社がある。栃木県宇都宮市のリアンコーポレーションがその会社だ。"絶対つぶれない会社をつくる"という五嶋伸一社長の信念のもと、20代から80代までの生活変化に応じて関わるサイクル型ビジネスの構築を進め、リフォームから不動産、福祉、新築と事業領域を拡大。前期は1店舗で約11億円の売り上げを計上した。賃貸仲介業への進出も予定している同社の事業モデルの中身を聞いた。
リフォームの次は不動産
―――リフォーム専業であった御社が今や新築住宅を年間50棟以上のペースで販売していると聞きました。どんな考えからですか。
まずリフォーム事業の次に不動産と福祉事業を始めました。それはサイクルするビジネスモデルの方が絶対に良いと思っているからです。1回きりではなくてね。20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代と人生の円がある。生まれたら絶対に死ぬというのは不変の法則ですよね。この円の中で僕たちは今まで40代から60代くらいのリフォームユーザーで仕事をし、1店舗で5、6億円を売り上げてきました。一方70代、80代は福祉ユーザーになる。売上高構成は1%もありませんが。
―――なるほど、では、20代から30代をカバーするのが不動産事業のわけですね。
そうです。人口統計などを見て、今から3、4年前に「中古住宅×リフォーム」は絶対に時代が来るだろうと始めました。ただ、そのときは、新築住宅は始めていなかった。でも不動産事業を行っていると、土地だけの仲介が月2、3件取れるようになったんです。1000万円ぐらいの土地を仲介すると30万プラス6万円の収入ですから、すごいねと。利益率も高い。毎月1人で3、4件手掛けられれば十分いいと話していたのですが、フト土地だけ買った人の上物がどうなっているかと気になりました。そこで、お客さんに聞いたら決まってないというのです。これって変だよなと、違和感を覚えた。
粗利率が高まらない
―――それで、平成23年にベツダイさんの企画住宅、ゼロキューブを始めたのですね。
当時会社の売り上げは5、6億円でした。そこがもう天井、これ以上は社員やお客さんを泣かさないと売り上げが上がらない感じでした。売り上げを上げ、未来を創造するための新築でもあったのです。
―――最初からうまくいきましたか。
売れても作れない状況でしたので整えるのに半年ぐらいかかりました。あと、施工単価が合わなかった。本部で出しているモデルが粗利28%ぐらい。でもどうやっても21%ぐらいしか行かなかった。
―――その数字では厳しいですね。
これはまずいと、1週間ぐらい徹夜しても答えが出なかった。そこで、見積書をこっちで書いて、これでお願いできないかと指値でFAXしたんです。そしたら「わかりました」と。何を迷ってたんだと思いましたよ(笑)。
―――でもそれで、販売できる体制が整っただけで棟数は増えないですよね。どういう仕組みをつくったのですか。
新規事業なのでイチからできるじゃないですか。だから、僕が考えていたことを全部表現していった。例えばですけど、完成現場見学会を完全予約制にしました。まわりには「馬鹿だな、やったことないからわからないだろう」って言われましたが。
―――やってみていかがでしたでしょう。
最初の誰でも来ていいフリー来店の見学会は、40組ぐらい来ましたが、決まったのはゼロです。完全予約制はテストでやったら10組来た。そのうち5組が決まったのです。
―――え、とんでもない契約率ですね。単なる予約をするだけではそこまでいかないと思いますが。
集客の仕方も問題です。4ステップチラシというのを行っているのですが、完成見学会の現場から2キロの線を引いて、そこに4回ポスティングを行う。4週間にわたり違った内容でポスティングするわけです。これ、最初は、お客さんがどんな反応をするかのテストでした。近くだと「やってるんだ」とお客さんは必ず見に来る。だから現場に自由にお取りくださいと資料を置き、毎日何枚減っているか管理したんです。そのあと、WEBで来場の予約をするのでアクセスがあがっている。予想通りの流れでした。
―――予約をするから、しっかりした対応ができるわけですね。
営業マンがいても多くの来客があったらロスがあるじゃないですか。一気に来る時間もあるし、非常に非効率。こんなの無理だとやってみてすぐわかりました。そこでむやみやたら来ないでください、時間制限を設けてますとしたのです。1日4、5組しか受け付けない。個人情報も全部書いてくれた人に1時間半から2時間の完成見学会をやります。完成見学会として家を貸してくれるお客様も誰だかわからない人を入れるのは嫌ですよね。
―――今でも半分は決まるのですか。
10組目標で、少し集客は落ちていますが、半分は決まります。
―――それを1人でやっているのですよね。
営業は基本1人です。設計、不動産、施工なども含めると6人で行っています。今期は昨年と同じ60棟ぐらいのペースですが、単価があがり1棟建物だけで太陽光を付け2000万円。新築だけで11億円の予定。リフォームなども入れると17億円の計画です。
―――しかし、よく半分も決まりますよね。どんな方法で受注しているのですか。
まず、予約を取ると、翌日に結婚式と同じぐらいのクオリティーの招待状が届きます。中を開いてみると、大中小の地図が入っている。○○ハイツから現場までどう来るかの3パターンの地図、そこには「こう来てください」と線も入っている。カーナビで入れる際のポイントも入れます。
―――3つの地図があれば迷わないですね。現場にも何かあるのですか。
駐車場に○○様専用駐車場という看板を用意します。そこに止めてもらい、玄関に入ったらウェルカムボード。今日は、○○様専用の完成見学会だと書いてある。家を見るのは5分か10分です。なぜなら、見学会に来る前に郵送で、建物が幾らなのか、どういう仕様なのか資料で教えているのです。お客様に対し何もアプローチがない期間が1週間以上あくと不親切。予約までの間は1週間に1回郵送物が届きます。引き渡しのときは、夫婦でお互いのことをかいたサンキューレターを書いてもらう。そして、そのレターを読む様子や着工式、完工式など全部収まったDVDも作り、そこには関わった業者さんの名前も全部入った映画も作ります。100枚ぐらい。
―――100枚も作るのですか。
関わった人すべて渡すのです。要は職人さんは、現場を見れないでしょ。自分の現場がどんな評価を受けているかわからないでいる。これではモチベーションがあがらないですよね。特に基礎屋さんなどは絶対完成した家など見ない。
―――それで、共有意識をもってもらうわけだ。
現場の管理される側と僕たちは敵、味方になってしまう。そうじゃない、チームだと。気持ちが動けば自主的に掃除はするし、仕事も変わってきます。
お客さんのみならず来社する人全員に名前入りのカード等でおもてなしする

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