日本住宅リフォーム産業協会 中山信義会長
オンラインの研修プログラムも開始
1983年、日本初のリフォーム関連企業の全国組織として誕生した日本住宅リフォーム産業協会(JERCO=ジェルコ)。昨年12月19日には国土交通省の住宅リフォーム事業者団体として登録され、新たなスタートを切った。来年度に現在の倍以上となる1000社の会員数を目指す中、中山信義会長は合い言葉として「生活者に選ばる"JERCO"」、「生活者に愛される"JERCO"」を掲げる。
登録マークを配布

登録を受け作ったマーク
――昨年12月に住宅リフォーム事業者団体として登録されました。登録を受け、今後、どのような組織運営を行っていく方針ですか。
まず、住宅リフォーム事業者団体登録制度の周知、活用を会員に徹底するということです。この登録マークの横にジェルコのマークを入れたものを作りまして、会員さんに送ったところ約100社からアクションがありました。マークを利用するには独自の総合研修制度「ジェルコリフォームアカデミー」のリフォームベーシックコースの受講、ホームページ上での会員情報の公開がルールです。ですからルールに見合わないところはマークを渡せません。申請いただいたときにチェックし、講習を受けていない方は講習を受けてからお渡しする流れです。マークはチラシやのぼりにも利用することができます。
――中山会長は合い言葉として「生活者に選ばれる"JERCO"」、「生活者に愛される"JERCO"」を掲げられています。団体登録制度の他にも生活者に安心・安全のリフォームを提供する上で、実施した方策はありますか。
生活者相談窓口の「コレカラ」を設置したことですね。この方針は私が会長になる1昨年の9月に発表したものです。
――リフォーム相談の電話窓口ですよね。いつ開設したのですか。
1昨年です。団体登録制度ができる前から生活者の相談窓口を作らなくてはいけないと考えていました。まさしく国が考えていたことと同じでして、生活者保護の観点です。
――運営されて1年以上たちますが、どんな相談が多いのですか。
リフォ―ムを行う一般の人からの相談です。これからリフォームをしたいけど、どうしたらいいですかという内容になります。
――実際に動きだしている人ではなく、これからリフォームを行う人がメーンの対象なのですね。
もちろん、「こうした業者に頼んでいるのですが、大丈夫ですか」とか、あるいは「金額的に妥当ですか」とか、いろいろな相談がありますよ。ただ、私どもが目指しているのはこれからリフォームをする人がプロに聞きたいことを私どもに聞いてほしい、それが目的です。最近はお年寄りも増えてきていますし、結局なんとなくやりたいけど、安心して頼めるところがない、というのが現状です。それを「コレカラ」で、最初の段階から相談していきたい。本来は行政がやるべきですが、まだ機能していません。
―― 今後は行政との連携もあるのでしょうか。
今回の団体登録制度の中にはっきりとうたわれていますから、連携していく方針です。今は、週に1件ぐらいの相談なので事務局でうけて、2日以内に地方は支部長が対応しています。今後は地方行政との連携ですから、支部でも対応できるようにしないといけません。生活者保護を第一に悪質、悪徳リフォームにひっかからないような体制をつくることが大切です。
悪質リフォームを無くす
―― 国民生活センターの発表では、2013年度訪問販売に関する相談が約50%増えているそうです。2009年度以降、相談件数は右肩上がりに増加している。
悪徳は初めからだます詐欺師ですが、悪質にも注意しなくてはいけない。悪質は、技量がないのに営業力だけで仕事をとってしまう会社です。今それがすごく増えている。新規参入が増えているからでしょうね。営業力だけで受注がとれますが、肝心の技術力がないからトラブルが起こる。
―― そうした悪質にならないためにも、さきほど話が出たような総合研修制度「ジェルコリフォームアカデミー」を開催しているわけですね。
アカデミーは基本的に会員さんに向けた研修ですが、ジェルコの社会的責任もありますから、広い意味で業界全体のレベルアップも目指し行っています。
―― どんな内容なのでしょう。
ベーシックコースとアドバンスコースがあり、昨年6月から始めたベーシックは全会員の受講を必須としています。内容は「ジェルコ倫理憲章」「リフォーム業務品質」「既存住宅現況調査」の3つのカリキュラムから成る約100分の講習です。これを今年の3月までに100%の受講を達成する目標で進めています。

ベーシックコースは会員全員受講が必要
―― 昨年の6月からとなると猶予は1年もありませんから、全会員受講のハードルは高いですね。
現在受講割合は7割ぐらいでして、これ以上会場に来てもらうのは難しいので、WEBによる講習を考えています。WEBの講習を受け、テストを受講してもらう。ベーシックの受講は団体登録のマーク利用に必須ですから、3月の100%完了を目指します。
――現在、会員は、主体となる1種のリフォーム会社、2種の流通業、3種のメーカーさん、4種のその他と分かれていますが、全員に受けてもらう方針でしょうか。
全会員です。業務品質などもテキストを作っていまして、社長が受けて社員に徹底してもらいたい。実はWEBにしたのはその意味合いもありまして、WEBでしたら社員全員が受けられます。社長だけが理解しても意味がありません。
―― ちなみにアドバンスコースはどんな中身になりますか。
今年4月ごろからスタートする予定なのですが、9項目ぐらいに分類した専門コースです。それぞれのスペシャリストに話してもらいます。例えば性能向上やインスペクション、長期優良住宅化リフォームなどです。
―― まずは東京で行うのですか。
いえ、全国一斉にやらないといけませんので、イーラーニングのような形がいいと考えています。例えば、東京で一度行い、ビデオ化し、支部でも同じものが見られるようにしていきます。関東でスタートしたJOSというジェルコオンデマンドスクールと連携させていく予定です。
――JOSは、オンラインでさまざまな講習が受けられる仕組みですよね。
自由な時間に自由なプログラムが学べる制度で現在コンテンツは50ぐらいです。要するに関東支部で行っている小さな研修会はすべてビデオ撮影していまして、それをコンテンツとしてネット上にアップしています。年間利用料は1万2000円。どんどんコンテンツは増やしていきます。
――利用料を払うと見られる形ですね。
そうです。雨漏り解決や年金活用方など、セミナーはいろいろです。今までは関東甲信越の会員だけしか利用できませんでしたが、全国に発信していきます。
――講習という意味では、現在は、ジェルコ会員以外にも実施しているそうですね。
他の団体さんやメーカーさん、流通さんの傘下の工務店、リフォーム店に講習を行っていますね。
現在会員数は420社
――さまざまな場所でジェルコに触れる機会が増えていると思いますし、団体登録制度もありますので会員数は拡大しているのではないですか。
私が会長になってから50社ほど増えました。370社ほどだったのが、今は420社です。もっと増やす予定で来年度に1000社の目標です。できないことはないと思います。私の考えとしてはある程度歴史があり、きちんと経営している会社は1000社以上いると思います。その会員がジェルコに入れば達成する。まだ会員がいない県もあります。1県に10社ないと地方行政との連携ができません。
――会員を増やし、より生活者が安心してリフォームできる体制の構築ですね。
この業界、やはりどこに頼んでいいか分からない問題が解決されていないのです。それを解決してあげればお客さんが迷わず、きちんとした会社に頼みトラブルが少なくなる。それをジェルコは目指しています。
――高齢者が増えてきたので、リフォームが健康にプラスになるなどの情報提供も必要ですよね。
まずはお風呂とか裸になるところを注意すべきです。寒いユニットバスでもリフォーム時には、いくらでも断熱材を入れられますし、耐震補強もできます。お風呂を工事すれば洗面所もからんできますから、その床壁天井をはがして断熱材をいれるだけならそこまで費用はかかりません。健康とリフォームももっと進めていきたいですね。

所在地 * 東京都中央区 / 設立 * 1983年 / 会員数 * 420社
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