フジコー 髙橋伸之社長
管材から木建流通へ事業転換
住宅設備・建材の販売事業や各種専門工事を手掛けるフジコー(茨城県水戸市)。18年前に配管材料の取り扱いを全面廃止し、住宅資材を中心とする事業展開へと大規模な改革を行った。2007年に就任した髙橋伸之社長は「当社は地元に根付く工務店を支援する会社。今後は工事力を強化し、他の流通会社との差別化を図る」と話す。
工務店向け流通に転換
―― 創業者の現会長(里井岸郎氏)が社長在任中の1997年、水道工事店向けの管材流通から工務店向けの住設・建材流通への転換を行ったそうですが、随分と大胆な決断をされましたね。
水道工事店への営業から、エンドユーザーに近い工務店への営業に切り替えることで、社員のモチベーションが上がると里井会長が考えたそうです。扱う商材の幅が広がるし、提案の仕方も変わる。それが社員の成長のためにもベストだという判断でした。当時、私は取引先の社員として一緒に工務店開発をしていましたが、この会社は激しいことをしていると思いましたね。
―― 管材はもう売らない、と宣言したわけですから、売上高も減ったのでは。
その当時は1年で2割減少。社員数もピーク時の半分に減りました。倉庫に管材が残してあると廃棄処分にさせられたという話もあります。当時は建設業がピークでしたから、大変な決断だったと思います。
―― 今、取引先の口座数は。
口座数は1200社ほど、そのうち毎月売れているのが800社ほどあります。
―― 現在の売上高と、その内訳は。
前期の売上高が63億円です。元々管材を扱っていたので水まわりに強く、住設販売が6割を占めますが、15%は工事によるものです。取引先の1位はTOTOさんで35%、続いてパナソニックさんが16%、ウッドワンさんが10%です。
地場工務店をサポート

本社社屋に隣接する「すまいポート21水戸」
―― 関連会社の「すまいポート21水戸」はどのような事業ですか。
住宅ローン相談や土地探し、建築会社選びをサポートする家づくりのコンサルタント事業です。この事業を展開していた栃木県宇都宮市の広告代理店と契約し、最初のフランチャイズとして3年前に始めました。特徴は「設計コンペ」の実施です。地元の工務店三十数社とハウスメーカー10社ほどが登録していて、その中から選ばれた数社がコンペ形式で設計提案をします。新築、リフォーム、外構の3つのコンペがあります。新築では昨年、21軒のコンペを開催しましたが、お施主様に選ばれたうちの9割は地場の工務店の提案でした。
――この事業を始めた目的は。
工務店支援です。コンペを通して営業力、提案力を磨けば、工務店もハウスメーカーと伍して戦える。技術力も負けません。コンペはあくまで「公正・中立」ですが、工務店さんが勝ち残れば当社が納材できるというメリットもあります。
今年は工事力を強化
―― 水まわりを中心とする工事部門を持ち、売り上げの15%を占めているのも御社の強みです。
水まわりに強い社員の力を生かして茨城、栃木、千葉の上下水道設備の指定工事を受けています。昨年は新築と増改築で350件ほどありました。今年はそこをもっと強化していきます。例えばTOTOさんのキッチンやバスなどが売れれば工事も必ずある。販売から工事までトータルで当社に任せていただけるようにしていきたい。
――工務店の受注支援のための雑誌も好評だそうですね。
最初はソーラーサーキット(外断熱工法)の契約工務店さんの広告宣伝ツールとして発刊しました。自前で製作し、置いてくれる書店も自分たちで開拓。今では北関東の約250の書店で売っています。発刊は年に2回。スタート時はソーラーサーキット契約店の約30社でしたが、7年前からは地場の工務店60社近くを紹介しています。地域の工務店のみを扱った雑誌を発刊している流通会社も珍しいと思います。
―― 今後の展開は。
今の営業拠点は10カ所。将来は「東京湾の見える所に営業所を出す」のが目標です。厳しい市場環境を踏まえ、工務店向けの経営塾も開催しています。リフォームにどう踏み込むかも課題。リフォームに本気で取り組む工務店を育て、共に歩むのが当社の使命です。
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