住宅リフォーム事業者団体登録制度「登録はゴールではなくスタート」
国土交通省 住宅局住宅生産課
企画専門官 豊嶋太朗氏
審査は「団体の規律」重視 初年度10の登録を見込む
国土交通省が進める「住宅リフォーム事業者団体登録制度」の加盟団体が6団体になった。同制度は一定の用件を満たしたリフォームの業界団体を、国が「登録団体」とするもの。リフォーム事業者の育成や消費者がより安心してリフォームができる市場作りが狙い。昨年9月にスタートしていた。制度の現状と市場の課題について、国土交通省住宅局住宅生産課の豊嶋太朗(もとあき)企画専門官に話を聞いた。
3つの出自から応募
―――これまで何団体から申請がありましたか。
25団体くらいから来ています。現状は6団体を登録しましたが、ほぼ想定通りで進んでいます。1年間では10くらいの団体になるかなと。
―――なぜ団体を登録するという方法を採用したのでしょう。
実際のところ、国が個々のリフォーム事業者を把握していくのは難しいんです。であれば、団体 単位で国がお墨付きを与えて、そこで頑張ってもらおう、と考えました。
―――応募してくる団体にはどのような特徴がありますか。
出自が3つに分かれています。1つは、元々リフォームに力を入れていた団体。例えば、ジェルコ(日本住宅リフォーム産業協会)、木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)、MKS(マンション計画修繕施工協会)、リノべ協(リノベーション住宅推進協議会)、BLR(ベターライフリフォーム協会)。
もう1つが日塗装(日本塗装工業会)などの専門工事業です。元々ゼネコンなどの下請けが中心ですが、直接ユーザーからは元請けができるということでリフォームに取り組んでいます。3つ目は、僕たちが新築メーンの業者の集まりだと思っていたような団体から、「いやいやリフォームもやっているんです」といった応募もあります。
質を高めてほしい
――登録団体の会員の規模はさまざまで、地域の零細工務店、塗装店など規模の小さな会社も少なくありません。
ものすごく良い会社だけが集まった団体にお墨付きを与えるのか、あるいは団体として頑張って いる、頑張ろうとしている、という所までお墨付きを与えて、頑張ってください、というふうにするのか、という2つの考え方があります。僕たちは「金メダル」だけを取っている団体だけをお墨付きにするだけでなく、「入賞」の人たちも入れるようにしました。なぜかというと、リフォームを頼む先というのは、地方であれば地元の工務店さんや塗装店だったりするわけですから。
―――登録団体を通じての教育・研修が求められます。
僕たちがお伝えしているのはあくまでこの事業者登録はゴールではなくスタートということ。事務局は「登録団体になりました」と宣伝するのもいいんだけれども、規律を働かせてハード面・ソフト面のクオリティを高めてほしい。
事務局が強くないと
―――団体の審査で重視する点は。
やはり団体の規律がきちんと効いているかどうか、ということです。例えば、団体で行うちょっとした調査モノなんかがありますよね。その回答率が低い団体もあります。でもそれって団体としての規律が緩いのではないか、と僕たちは考えます。
また、団体の中には当然いろんな会員がいます。例えば、リフォームの契約書を交わさずにトラブルを起こしてしまうような会社もある。そうなったときに、会員の資格停止なのか、あるいはマナー研修にでなければならないのか、指導の仕方は団体としていろいろあるけれども、その問題意識が低かったりするのはだめですよと。
そのため、団体の事務局に負荷をかけていて、責任感を持ってもらうようにしています。中には本部より、支部の方が強い団体とかあったりして、そういうのはだめ。事務局の力が強くないと困るんです。
―――より安心してリフォームできるマーケットになるのでしょうか。
これはじわじわとリフォーム業界への信頼感が出てくるボトムアップの政策だと思っています。 業者が信頼を高めて、制度が消費者に認知されていけば需要を支えていけると思います。
ライト版住宅履歴も
国交省ではより使いやすい住宅履歴システムの開発も進めている。リフォーム需要を喚起していく考え。豊嶋氏はこう語る。「住宅履歴情報をライトに使えるものにして、自分の家がよく分かるようになれば気軽にリフォームできるようになる。例えば、私もニトリに行ってカーテンを見たりします。でも、自宅の家の窓のサイズってどれくらいだったかと考えると、分からない。これって、5000円分くらいの消費が失われているわけですよね。家に帰ると、カーテンを変えたいと思っていた需要さえも忘れてしまったりする。需要の芽が出たときにそれを膨らませられることが大切で、ライト版住宅履歴はユーザー目線のものにして、需要を生み出すものにしていきたい」
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