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旭化成リフォーム、積算専任者で生産性アップ

旭化成リフォーム、積算専任者で生産性アップ

旭化成リフォーム
森田敏晴 社長
1178号 (2015/07/28発行) 19面
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旭化成リフォーム 森田敏晴社長

旭化成リフォーム 森田敏晴社長

増改築設備売り上げを5割に

 前期、リフォーム売り上げ上位10社のうち、半数以上が減収となる中、前年度比1.9%増の536億円を記録した旭化成リフォーム(東京都新宿区)。今期も、555億円と増収計画を打ち出し、積算専任者の配置や、従来はほぼ行っていなかった新規顧客向け提案を推進している。森田敏晴社長に売り上げ達成に向けた戦略を聞いた。

旭化成リフォーム、積算専任者で生産性アップ

体質改善進める

――まず計画の555億円ですが、消費増税後の需要減が一段落した後の数字としては、少なめに感じます。決算発表にもあった通り、受注在庫の竣工を進めたため、抑えめの計画にしたのでしょうか。

 そうです。だから他社と比較し、あまり伸ばした計画にしませんでした。

――増収を達成する方策としては、先日1階の全面改装商品「家事郎の一日」を出した方向性からして、改装を増やしていくということが中心になるのでしょうか。

 その方針です。ある地点でヘーベルハウスは高耐久に変わったことから、2020年問題のような形で外壁塗装や防水は減少してしまいます。

――30年保証の新築商品を9年前に発売したことから、同商品の採用物件は築約15年時に発生していた塗り替え等の工事が発生しなくなるということですね。

 目に見えてパタッとなくなるわけです。そこに向け、早急な体質改善に取り組まなければいけません。そこで昨年から言っているのが営業の動きやすさの向上と改装、改築設備の強化です。

――営業の動きやすさとは。

 従来は大型改装に関して営業が積算をしていました。そこに結構な時間がかかっていたわけです。そのため、1人積算担当を設けまして、その者に仕事を集中させ、精度やスピードをあげ、営業がもっとお客さん宅に行ける体制にしました。例えば今まで1週間から10日インターバルがかかっていたのを3、4日後に行けるような仕組みです。

――積算担当は営業所に1人ですか。

 全部そろってはいませんが、今18営業所中、兼務も入れると17人います。

――これで、生産性を向上させていくということですね。

 これが社内的な体制改革。もう1つ取り組んでいるのは営業コンペですね。営業コンペはどの会社も行っているとは思いますが、私どもの評価は今まで単純に金額だけだったのです。金額で何人まで入賞とか敢闘賞など設けていた。今回、その必要要件に一定の設備売り上げがないと足切りする制限をつくりました。そうすると営業の意識が変わる。金額だけで評価されると、売りやすい塗装防水に行きがちなんです。そうじゃなく、お風呂やキッチンも最低台数は売りなさいよと、会社のメッセージを出したんです。

――意識的に設備、改装商品を売る土壌をつくったということですね。コンペはどのくらいの頻度で行うのでしょう。

 上期と下期で年2回です。入賞者は1位から7位、あとは敢闘賞と目標の金額を一定以上クリアした人は努力賞があります。

――ちなみに営業マンや設計など業種別の人員は何人ずつの構成ですか。

 全体が760人でして、営業が356人、設計が60人、工事が120人です。あとは本社スタッフや各営業所のサポート人員、製図を専門に行うセンターがあります。

――やはり、これから売り上げ増を狙うためには、生産効率のアップに加え人員の増員が必要だと思いますが、どのくらいの増員を考えていますか。

 今年度のスタート時は2014年度比で50人ぐらい増えました。特に改装を増やさないといけませんから、営業と設計ですね。営業が20人、設計が10人ほどです。

営業1人350~400件担当

――営業1人当たりの担当件数はどのくらいでしょう。

 私どもの対応する新築OB顧客を、新規担当のリモデリングの10人を引いた340人で割ると、行政区で分けるので多少のばらつきはありますが、大体350から400件ぐらいの数になります。

――昔からこの数字ですか。

 大体そのくらいです。そして、OBの中で折衝段階ではない新規の訪問を月に15件ぐらいしましょうという目安があります。ご興味があろうがなかろうが基本的にアポイントを取っていきなさいよという指針です。年間にすると180件なので、一年で350件の顧客は回り切れない数ですね。

――2年でひと回りする計算ですね。今後もこの350件から400件の数は変えない予定ですか。

 変わらないと思います。

―― すると今後売り上げを伸ばす方策としては、案件発生率を高めるか、単価を高めるかのどちらかですね。

 両方でしょうね。生産性を上げるという意味では、単価が上がる複合契約を方針にしています。例えばお風呂とキッチン、あるいはお風呂とトイレなど複数提案をして、単価を高めています。3年ぐらい前から割引パックのような形にして実施し、営業の行動としては定着しつつあるという感じです。

――この先、新築OB客のメンテナンス需要が減少する中、リスク分散として、現在約40%の増改築内装設備の売り上げ割合をどのくらいまで高める予定でしょう。

 イメージとしては、2018年か20年までにメンテナンスと5分5分をイメージしていますね。

――全面改装商品の「家事郎の一日」や定期的に出す改装商品は改装割合アップを実現するための商品の1つですね。夫の家事をサポートする目的を持った新商品の反応はいかがでしょう。

 お客さんからの資料請求もあり、近年まれにみるレスポンスの良さでした。

――御社はどちらかというと商品自体の反響で改装の受注を取るというより、あくまで、受注を取るきっかけとして商品を開発していたと思いますので、反響が良いとは驚きですね。

 マーケティング部の部署の人間も戸惑っていました(笑)。

2020年1000億円へ

―― それと今期555億円の計画ですが、長期での売り上げ目標として掲げている数字はあるのですか。

 2020年に1000億円をイメージしています。ただ、既存のOBのお客さんだけで生産性を上げ、人員を増やしても1000億円というのは厳しい。別の仕掛けをしなくてはいけません。

――そうなると新規を本格的に行うということでしょうか。営業人員の話の中に出てきましたリモデリング部分ですね。

 4月に部署名を特建営業所からリモデリング事業所に変えました。現在全体で20人ぐらいなのですが、もっとそこに人員を投入し、一般のリフォームをやろうと考えています。

――どんな新規提案を進めているのでしょうか。

 防水工事に特化しています。ターゲットとしましては賃貸マンションのオーナーさん。私どもの得意商品である30年耐久の防水、あと太陽光などのセットや、30年対応の外壁塗装を提案しています。そこは他のリフォーム会社と毛色が異なるところだと思います。

――反応はどうですか。

 お客さんの反応はいいですね。今後媒体を使って宣伝するかルート開拓するかは今年度検討していこうと考えています。

――例えば入居率アップのための内装改装などの提案まで行うのでしょうか。

 今後でしょうね。そこは商品化していないので。どちらかというと資産を維持するため耐久性を維持する外壁や防水、そちらで他社よりもすぐれた商品ということをPRして30年メンテナンスがかかりません、だから安心して内装などにも投資してという方向です。

――地域はどこで考えていますか。

 当面首都圏と今回関西に少ないですが、2人配置しました。で近いうちに中京地区、とりあえずこの3地域でやれればよいと考えています。


会社概要
本社 * 東京都新宿区 / 人員数 * 760人(営業356人、設計60人、工事120人、その他)
営業所数 * 18カ所
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