丸産業 丸敏幸社長
ネット通販は月商5000万円
奈良県屈指の木材・住設商社の丸産業(奈良県橿原市)。昨年、ホールディングス化を果たし、将来を見据えた事業展開に着手している。丸敏幸社長は「これからは単なる"モノ売り〞だけではダメ。小さな工務店さんのご要望にも応えられるよう、新しい人材や能力を積極的に取り入れたい」と話す。
多商材で市場開拓
―― 今年で53期目ですね。業績はいかがですか。
当社はもともと、スギ材で有名な奈良県の吉野で林業を営んでいた会社です。そこから集成材、建材販売へと手を広げ、現在は建材から住設まで扱う総合商社に発展しています。建材と住設の売上比率は5対5。前々期の売上高は220億円でしたが、前期は2割減となりました。
―― 厳しいですね。落ち込みの原因は何だと見ていますか。
取引先に新築を中心に手がける地場工務店さんが多かったためでしょう。新築市場の縮小が当社の売り上げに影響したと見ています。ただ数字の中味を見ると、木質建材が減少している半面、水まわり設備は好調に推移しています。
―― 東京進出を果たしていますが、工務店開拓に乗り出すとしたらかなり後発ですね。
東京では、ビルダーを中心に取引先を広げたいと考えています。本格的な商圏拡大というより、チャンスを探るための進出と位置づけています。
それよりもむしろ、今は関西での取引をどう伸ばしていくかの方が重要。現在、大阪、京都、滋賀、和歌山などに拠点があり、京阪神をほぼ網羅しています。これらのエリアでさらに販売強化していきたいと考えています。
―― リフォーム分野をどう見ていますか。
リフォーム市場にもっと入り込むには、すでにリフォームを手がけている企業と手を組むか、自分たちでリフォームを受注するかのどちらか。ただ最近は地元の小規模工務店さんがリフォームに取り組み始めているので、建材から水まわり商品までそろえる多商材を武器に、市場開拓に力を入れていきます。
―― ところで、昨年ホールディングス化していますが、財務体質強化の他にどんな目的があってのことでしょうか。
将来の展望を考えてのことです。MARU'Sというホールディングス名で、ようやく一年が経過したところです。
これからは単なるモノ売りではダメだと思っています。特にリフォームでは現場に対して何ができるかが問われます。工事能力なのか、現場の管理能力なのか。しかし、この50年、商品を販売する教育しか受けていない私たちがすぐにそれをできるかというと、やはり無理です。
となると、そうしたことを手がけている企業をM&Aによってホールディングス傘下に収め、当社にない新しい能力や人材を取り入れる必要があります。その受け皿、器がMARU'Sだと考えています。
ネットは目標1億円
―― これまでとは違う展開として、ネット通販にも乗り出しておられます。効果のほどは?
ネット通販は、丸産業本体ではなく子会社で行っています。「コンパネ屋」というネットショップをオープンし、Yahooと楽天に出店しています。月間の売上高は5000万円。これを1億円にするのが目下の目標です。
ネット通販も、当社の既存のスキルや知識では乗り出せない分野でした。しかし、もともとネット通販を手がけていた会社を子会社化することで進出を果たせています。建材や資材も、これからはネットの時代。今後はYahooや楽天に依存するのではなく、いかに本体サイトに顧客を誘導するかが重要でしょうね。
―― WEBは全国の顧客が相手。ここに注目するということは、「地域重視」の方向性を変えるということでしょうか。
いいえ、そうではありません。当社では毎年、奈良県内で「住設建材まつり」という展示会を行っていますが、地場の工務店さんが地域のエンドユーザーをどんどん連れてきてくださる。その結果、1日に3000~4000人の集客があります。業界では「ルート販売はもうなくなる」といわれていますが、こうした現実を見るとまだまだ可能性はあるなと思います。地域のエンドユーザーをしっかりつかまえようとする小規模工務店さんに、展示会という「場」を提供できるのも、私たちの価値だと思っています。
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