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リフォーム会社座談会《後編》 不景気に強いOB重視経営

OKUTA × キタセツ × ダイキョー × ハイブリッドホーム
森田隆之取締役常務 × 北川拓代表取締役社長 × 吉澤和男代表取締役社長 × 古澤智一代表取締役営業統括部部長
1227号 (2016/08/02発行) 16~17面
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 本誌編集部では「リピート・生涯顧客化」がテーマの座談会を開催した。前回(7月26日号)では、リピートを促すコツ、一人のお客さんと生涯付き合うとどれくらいの売り上げにつながるのかについて各社の取り組みを紹介した。後編の今回は、顧客リストの管理方法や、OBと新規の売り上げ比率はどうバランスをとるべきかなどについて議論した。(司会・本紙編集長 金子裕介)

≫≫≫ リフォーム会社座談会 前編は こちら ≪≪≪

OKUTA 森田隆之取締役常務OKUTA 森田隆之取締役常務

本社所在地と拠点数 : 埼玉県さいたま市直営13店、FC37店
リフォーム売上高 : 48億円
OB客数 : 1万3500件(会員数)
OBフォローの特徴 : 「LOHAS CLUB」という有料会員制度を用意。会員を対象に「Handyman」という便利屋がメンテナンスサービスを実施している。

キタセツ 北川拓代表取締役社長キタセツ 北川拓代表取締役社長

本社所在地と拠点数 : 東京都大田区 1店
リフォーム売上高 : 6億5000万円~7億円
OB客数 : 1万2000件
OBフォローの特徴 : ニュースレター「しあわせ色」を2カ月に1回送付。その他、カルチャー教室の開催やバースデーカードとプレゼントの贈呈などを行っている。

ダイキョー 吉澤和男代表取締役社長ダイキョー 吉澤和男代表取締役社長

本社所在地と拠点数 : 群馬県前橋市 1店
リフォーム売上高 : 3億6000万円
OB客数 : 3600件
OBフォローの特徴 : 6人の「コミュニケーションスタッフ」が、メーンのOB宅を2カ月に1回訪問。訪問しない月はニュースレター「SUNらいふ」を送付している。

ハイブリッドホーム 古澤智一代表取締役営業統括部部長ハイブリッドホーム 古澤智一代表取締役営業統括部部長

本社所在地と拠点数 : 東京都千代田区 3店
リフォーム売上高 : 8億円
OB客数 : 1800件
OBフォローの特徴 : 18人の「ホームアドバイザー」が、OB宅を毎月訪問。元お客さんを採用するなどしてフォローを手厚くしている。

着信後すぐに顧客情報を把握

――リフォームしてくれたお客さんは「顧客リスト」にまとめているかと思いますが、顧客情報の管理の際に、何か工夫していますか。

北川 うちは全てのお客さん、1人1人の工事履歴がすぐに分かる状況になっています。最近、顧客管理ソフトをオリジナルで作ったんですけど、これで1人1人がどんなリフォームをまだやっていないかだったり、建物や家族情報なども分かるんです。

 あともう10何年前になりますけど、CTI(Computer Telephony Integration System:電話とコンピュータの統合システム)を取り入れてましてね、要は電話がかかってくると、パソコンの画面にお客様情報がポップアップでぱっと出てくる。この方はOBだとか、新規だとか、瞬時に電話を取る人が分かる。それによって、電話の出方がまるで変わるんですね。

 前は、しょっちゅうリピートのお客さんに「どちら様でしょうか」とかね、しまいにはお客さんがいい加減覚えてくれよという苦情もありましてね。今はもうお客さんが名前を言う前にね、「どこどこの誰々さんですよね」と言うと「何で分かるんですか」と。「もうお得意さんですから、うちではお電話番号ですぐにお客様の情報が分かるんです」というふうになるんです。お客さんは喜びますよ。

森田 うちも同じですね。CTIでポップアップ情報が上がってきます。当然、お客様の履歴を見て、いっぱいリピートしてくれている人だとかは分かります。「いつもお世話になってます」というような対応はしますけれども、その方に何か特別手厚くできているかと言うと、何もまだできてはいない。これは課題ですね。

 たまたま、今日はこういう座談会があったんで、ちょっと調べてきたんですけれども、一番リピートの多い方で、過去11年間で28回リフォームされている方とか、あと「Handyman」(便利屋サービス)で言うと、12年間で155回リピートされている方とかいらっしゃるんで、そういう方に対して何か特別なことをしたいなと。

吉澤 私どもも工事履歴等は全部やっています。件数も内容も金額も分かります。工夫と言えば、私どもはOBを中心に商売しているので、「この人が紹介してくれた」ということも書いておくようにしています。Aさんていう人が、BさんとCさんを紹介してくれたと。それをAさんのページにも記録する。それは電話で話した時に、いつもお世話になってるなということが分かるようにです。

 あとは、本当にアナログなんですけれども、私が全部のお客さんに対してお礼状を書いています。1000円、2000円の修理でも。それと、紹介してくれた人にもお礼状を書く。やっぱり、良いお客さんのお友達ってのは大体良いお客さんなんで、そういう人を大事にして、そこからまた「ダイキョーさん、実は友達が」っていうことが発生するようにしています。

――誰がどれくらい「紹介」してくれたか、についてもきちっと管理することで、手厚くフォローできますね。

吉澤 うちは紹介してくれた人に対して、コミュニケーションスタッフが1年間訪問するようにしています。ちょっとした手土産を持って。例えば、紹介してくれた工事が終わりましたって報告をしたり、コミュニケーションを取るようにしています。

古澤 うちは上得意、お得意様A、B、既工事客とその下に「既工事客過去」ってありましてね。上得意の方は紹介実績があって、リフォーム工事が500万以上だったかな。で、3回以上のリフォームがあって、みたいな区分があるんです。その条件に全部丸が付くと上得意なんです。で、上得意ってのは横綱と一緒で下に落っこちないんですよ。例えばA客は条件の1つでも○が欠けると上位に上がれない。で、そのAのお客様が上に上がれない理由は、紹介がないとか、内覧会に来ていただけてなかったとか、まあ、とにかく1個欠けているんですね。だから何とか上位ランクに上げていこうと、こちらから働きかけをするんです。

 で、Bっていうのは、Aと比べてもう1つ○が少ないんですね。その下に既工事客がいて、5年間何もリピートがないとランクダウンして「既工事客過去」というリストになる。お得意様のランクアップって呼んでいますけれど、そういう取り組みをしていますね。

追うOB、追わないOB

――どれだけ関係が濃いお客さんかどうかを、きちっと分けて管理しているんですね。例えば一番上の上得意客とかになると、何かサービスがあるのでしょうか。

古澤 ええ、嫌がられる時もあるんですけど、年末年始と暑中訪問は私が手土産を持ってご挨拶に行くと。112人いらっしゃいますので、けっこう忙しいんです。上得意様はクオーターごとに見直していくんですけれど、第2四半期で2人くらい上がるかな。逆に、落ちる方は自動的に毎月落ちていきます。

――ルールに基づいて顧客を分けられていますが、「分ける」ということは重要なのでしょうか。

古澤 そう思います。担当がお得意様って言っても、客観的に見た時にそれはどうなんだろうと。誰が見ても客観的に「ああこれはもう紛れもないうちの大のお得意様だね」と、判断するにはやっぱり何か工夫をしないと。

北川 私どもはそういうランクは一切分けてはいないんですよ。リピートが来ない方にはもう情報誌も送らないとか、そうやってる会社さんもあるんですけど、10年以上過ぎて大きな仕事を頂いたりするので、やっぱり切らなくてよかったなと思ったりするんですね。ただ、いろいろと働きかけるという面ではランクって大切だなと思います。

――すべてのお客さんをフォローし続けるというのもなかなか大変で、コストもかかります。このお客さんは見込みがないから切る、切らないみたいなものって、大切だと思いますか。

森田 うちは基本的には(ロハスクラブという有料アフター会員制度の)会員様以外は追いかけないですね。もうそれ以上は何もしないです。もしかすると営業マンレベルでやる人もいるのかもしれないですけど。会社としては一切何もしないですね。保証書だけ発行しますんで、何かあればご自分で連絡してきてくださいと。会員様に関しては3カ月に1回の会報誌と電話のコールがありますんでね。手厚く対応というわけです。

――もったいない、という気もしますが。

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