日本ホームインスペクターズ協会(東京都渋谷区)は、既存住宅の住宅履歴を蓄積するシステム「HIRO」の運用を9月6日から開始した。同システムは、既存住宅の図面やリフォーム実績などの〝履歴〞を記録するデータベース。「履歴を残す文化を創出したい」と田中歩理事は話す。
住宅の履歴制度は、2009年の優良住宅における「住宅履歴情報」保存義務化によって、新築住宅では徐々に普及が進んできた。一方、中古住宅の住宅履歴保存は、ほとんど行われていない。日本ホームインスペクターズ協会理事で、さくら事務所代表の大西倫加氏は、「扱う中古住宅で図面まであるものは3割強」と、現状を話す。
「HIRO」は、中古住宅の健全な流通に向け、築10、15年後には「図面がない」「直した箇所も分からない」といった問題を解決すべく、作り出された。
利用は、事業者と建物所有者(エンドユーザー)がWEB上にあげられた同様の建物情報を共有する形で行う。建物情報は、住所や構造、面積などの基本情報のほか、地盤調査やホームインスペクションの報告書といったデータの保存も可能。情報は、項目別、履歴順、図面の3種類で確認でき、必要なデータベースへのアクセスを容易にした。また、事業者からのお知らせを告知する掲示板機能もある。
「最初は、すべての顧客の履歴を入力する必要はないと思います。例えば、投資アパートの管理などを『HIRO』を使ってすることによって、お客さんに資産価値向上の話をするきっかけになると考えています」(田中理事)
利用料金は、3GB3000円/年、5GB4500円/年、10GB8000円/年(日本ホームインスペクターズ協会会員、会員が所属する法人、賛助会員、住宅所有者)3GBで基本20~30件ほどの履歴管理ができる。上記以外は個人、法人は倍の料金がかかる。
今後は「HIRO」活用研究会の設置やFBの公開ページで、利用者同士がビジネスの連携を行える場も創出する予定。

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2025/06/20掲載