「店舗開業ビジネスで、全国展開を狙う」。そう話すのは、店舗設計・施工を手掛けるトラスト(東京都多摩市)の山口一社長。2010年の設立以来、売上高10億円と事業を拡大する同社に、そのユニークなビジネスモデルを聞いた。
きっかけは発注先の倒産
同社が提供するのは、店舗開業までの一連のソリューションすべて。その内訳をみると、資金計画、物件探し(不動産仲介・業者との交渉代行)、店舗設計・施工、ウェブページ製作、仕入れ先の手配、メニュー製作サポート、採用代行など、およそ7種類。
「通常は、これら7つの作業はそれぞれ別の業者に依頼し、店舗オーナーがそれぞれの担当者と打ち合わせをしていた。店のオープンまでおよそこの折衝作業で600~700時間ほどかかるという調査もあり、本来やるべき店の戦略づくりに割く時間がない。これを解決するのが、当社のミッションです」(山口社長)
設計施工はもちろん、ウェブページ製作や不動産仲介なども自社に専門部署を設け、内製化している。そのため情報共有もスムーズで、依頼主からの満足度も高い。現在、ホームページからの問い合わせや紹介、リピートなどで、年間30件ほどの工事を受注している。また工事事業の売り上げは7億円ほどだが、その他の事業により、一人のクライアントに対して複数の収益源を持てることが同社の強みとなっている。
■7つのサービス
同社では、店舗の設計・施工をはじめ、資金計画や不動産仲介、採用の代行まで提供。これらはワンストップで提供され、店舗オーナーはコンシェルジュと呼ばれる専門スタッフと打ち合わせをする。
なぜこのようなワンストップ体制を構築するに至ったのか。そこには、ある手痛い失敗の経験がある。
同社では設立当初から店舗工事業のほかに、建築測量の仕事を行っており、今も収益源の1つとなっている。

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