創業者の高齢化に伴い、二代目への事業承継に頭を悩ませるリフォーム会社や工務店は多いのではないか。社長職がただ入れ代わるのではなく、築きあげてきた伝統や誇りを残しながら、いかに時代に即した組織として発展させるかが重要だ。かつて職人上がりの創業者が率いていた2つの老舗工務店の二代目に話を聞いた。
【リポート/編集部 芦原拓】
二代目が手がけた3つの組織改革
香川県のビルダー、黒石建設(高松市・年商7億円)は、2019年に二代目の黒石正芳氏が社長に就任して事業承継を実現した。大工だった父の芳松氏が会長職に就き、正芳氏が社長職を受け継いだ。課題だと考えていたのは、こじんまりとした家族経営だったこと。もっと組織的に動き、大きく事業を伸ばしていきたいと考える現社長の方針と違っていたことだ。
かつて建設会社で現場監督を努めていた二代目が親元に帰ってきたのは2008年のこと。当時の社員数は父と母、自身を含めてわずか3人だった。自ら専務に就任した正芳氏は、会社経営を盤石にするための3つの改革に乗り出した。
まずは自身が一人で担っていた営業や工務などのポジションに人材を補強し、自らはマネジメントに専念する環境を整えた。毎年、平均一人ずつ社員を雇い、現在は13人体制に。社員数が増えたことで、社内の雰囲気も変化した。「かつては職人気質の社員が多く、接客時も専門用語を用いての工事内容の説明が多くて、お客様のご理解を得られないことも多かった」と黒石正芳社長は振り返る。

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