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フジ住宅、中古再販ビジネスで年商240億円

フジ住宅、中古再販ビジネスで年商240億円

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 年間1400戸もの中古再販物件を販売しているのがフジ住宅(大阪府岸和田市)だ。既存住宅を買い取り、リフォームした後に売却するというビジネスでは大阪ナンバーワンの実績を持つ。キーマンの住宅流通事業部、石田才昇部長にビジネスモデルを聞いた。

流通部門は180人

 フジ住宅の中古再販事業の売上高は240億円。販売戸数は2014年3月期ベースで約1400戸。その前の期が1100件なので3割弱の伸びを見せている。住宅タイプはマンションが8割で、戸建てが2割。

戸建てを再生した事例
戸建てを再生した事例
マンションも新築のように再生
マンションも新築のように再生

 本紙調査による「中古再販ランキング2013年度版」では、カチタス(群馬県桐生市)、インテリックス(東京都渋谷区)に次いで3位にランクインしている。メーンの営業対象としている大阪府・兵庫県だけに絞れば、その販売実績はトップレベルだ。

 ビジネスモデルはエリアによって2種ある。1つは本社のある岸和田市を中心とする大阪南部の「泉州エリア」。もう1つは、泉州エリアよりも北に広がる「堺市以北エリア」。こちらは大阪だけにとどまらず神戸や明石まで営業対象にしている。

 総販売数の約8 割は「堺市以北エリア」が占める。堺市、大阪市、西宮市の3拠点に「ホームバンク」という営業所を設け、地域の不動産仲介会社と協力して仕入れから販売を行う。

 全体の2割を販売する「泉州エリア」では3店舗ある「おうち館」を軸に中古住宅を販売する。「おうち館」は、新築・中古に限らず「家が欲しい人」を集客する大型店舗。同社は中古再販事業でも高い売上高を誇るが、事業のメーンは新築分譲。

 泉州エリアではこの店舗をベースに、中古も新築もユーザーのニーズに合わせて対応するスタイルだ。ちなみに、再販事業を行う「住宅流通事業部」はパート社員を含めると約180人のスタッフが関わっている。

仕入れが最重要

 石田氏は「このビジネスは仕入れが命。売りやすい値段で仕切れるか。ここ最近、大阪には関東から事業者が参入してきて、激戦区になっています」と話す。仕入れで重要なことは「地域の仲介業者とウィンウィンの関係を築くこと」と強調。

 例えば、数多く仕入れたり、再生後の販売を任せたり、仲介会社とお互いに関係を築くことが重要だという。フジ住宅は販売後のリフォームのアフターを担ってもおり、仲介会社は売った後も安心感がある。石田氏は「継続してお付き合いすることで、リピートしていただいています」と話す。

 買い取る物件の条件はいくつかある。例えば、築年数は古くても35年くらいまで。平均は築20年前後。また、家の傾きがひどかったり、シロアリが発生しているといった躯体に問題がある場合も買い取らない。

 最も重要なのは、築年数、状態、立地などを総合的に判断し、最終的には再生後にいくらくらいで販売ができるかを想定して買うこと。その場合、重要な基準となるのが、これまで販売してきた過去の成約情報だ。

平均1700万円

 購入した物件についてはほぼ何らかのリフォームを行う。基本的な改装内容は、クロスやフローリングなどの表面的な改装をベースとし、築15年を超えたものであれば、キッチン、バスなどの水まわりを変えるというもの。大掛かなスケルトンは少ない。

 「リフォームにお金をかけすぎてもそのコストを回収できないことが多い。私どもはあくまで1人でも多くの人にマイホームを提供しようということが狙い」

 販売価格は平均1700万円。周辺の新築相場に比べて1000万~1500万円くらい割安な価格で出すことが売れ行きを左右するという。 購入者は幅広く、20 代~60代のそれぞれの世代が2割ずつ。若い人は賃貸からマイホームに、高齢になると生活の利便性を考えて駅近のマンションに住み替えというのが主な購入動機。

 人気の理由は割安さだけではない。アフターサービスも重視し、売りっぱなしにしないというのが同社の考え方。そのため、1時間以内にアフターに行けるエリアを商圏としている。今期は消費増税の反動あり、横ばいの売上高240億円という計画だが、これだけの数を維持するのは容易ではない。

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