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HOME'S、異例の新サービス
SUUMOやアットホームなど物件紹介サイトがしのぎを削る中、不動産業界の常識を覆すサービスが始まった。LIFULL(東京都千代田区)の運営するHOME'Sは、なんと中古住宅のインスペクション(建物診断)結果を公開する。従来は性能が不透明なまま住宅を買わざるを得なかったが、診断結果が誰でも見られることで、安心感の訴求につながる。
中古一戸建ての実際のサイトの例
高品質の物件を独自に「認定」
HOME'Sのサイトを訪れて、埼玉県三郷市の戸建て住宅の物件情報を見てみると、一番上に表示されている物件に「住宅評価」のアイコンが表示されている。これが同サイトの新サービスだ。この物件情報をクリックすると、「住宅評価書を見る」というものがあり、「築年数評価C」、「最高級給湯器」、「シロアリ保証10年」などの情報が詳細に掲載されている。また、物件価格の妥当性を説明するために、不動産流通センターの価格査定マニュアルに基づくことが説明されている。
合わせて、「日照・通風」、「眺望・景観」など、物件の優れている点をピックアップし、マンションの共用部では、耐震性や修繕計画の有無について細かく言及している。
さらに、住宅評価ページを下にスクロールしていくと、建物の居室について詳細に説明されている。例えば、マンションの専有部であれば、「内壁」、「天井」、「床」など、7つの部位の診断結果について画像を使って説明している。「キッチン」、「バス」、「洗面所」、「浴室」についても、それぞれ診断時に指摘箇所が見つかればそれを画像を交えて説明している。
この「住宅評価書」は単に、物件のインスペクション情報を記載しているだけではない。調査結果が高品質な物件の場合、「HOME'S認定」物件としてロゴを与えている。これらは、ユーザが検索した際に、上位に検索されるようになり、目につきやすくなるメリットがある。
従来型の物件紹介サイトにはインスペクション結果や価格の妥当性を説明する項目はなかったことから、極めて異例と言える。では、なぜこのようなサービスを同社は始めたのか。「一生に一度の極めて高額な買い物であるにもかかわらず、不動産物件は買う前の情報が不透明で、分かりにくいものでした。当社は可能な限り物件情報を透明化し『見える化』を図っていきます」(HOME'S事業本部流通事業部・UXユニット企画グループ・渥美翔吾グループ長)
中古住宅の購入に関する消費者の意識調査を同社が独自に行った結果によれば「中古物件を買いたい」という消費者は15%にとどまった。理由は、性能が明らかでなかったり価格が不透明だったりするからというものだった。そのため、これら消費者の不安を解消することを目指しているのだ。
検査物件は売れやすくなる
では、このような情報はどのように検査されるのだろうか。まず検査の手配は、売り主の媒介契約依頼を受けた仲介会社が行う。その際、HOME'Sに検査依頼を出し、提携する事業者に検査してもらい、報告書を受ける形を取る。そして、国土交通省の「インスペクションガイドライン」に基づいて専門事業者が行った調査結果をもとに、仲介業者が自ら媒介を受けている物件情報とともにサイトに掲載する。

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