ナカシマ 中島誠一郎社長
管材販売のナカシマ(兵庫県姫路市)が、多角的経営で成果を上げている。舵を取るのは三代目の中島誠一郎社長。事業比率をガラリと変化させ、8つの事業部で3年後に売上高倍増を狙う。同社の取り組みについて聞いた。
"管材屋"から脱皮多角経営へ
「祖父、父の代と六十数年にわたって管材屋としてやってきましたが、ここ最近は事業内容が大きく変化しています」と中島社長。社長に就任したのは7年前。それまでは管材がほとんどだったが、2014年(58期)の売上比率を見ると、管材を取り扱う設備営業部門は2割にとどまっている。代わりに空調や給排水システムを手がける設備工事部門、上下水道資材を取り扱うパイプシステム部門などが成長。年商は49億円と社長就任前の2倍近くに達している。
ライフラインの総合エンジニアリング商社がいまの姿、と中島社長。水、空気、環境をメーンテーマに事業展開してきた。「水」の分野では、ダムの取水施設から下水道にいたる"上流から下流"までをカバー。「空気」の分野では、空調設備を手がけることで施設の快適性向上に寄与している。それだけにとどまらない。環境プラント、太陽光発電システム、防災用品などライフラインを支える多方面に事業を広げることで、管材専業のころよりもはるかに多くの取引先を獲得している。
取捨選択し小さな事業を大きく
中島社長が跡継ぎとして会社に戻り、管理職として経営にタッチし始めたのは2001年。当時、ナカシマは守りを重視する会社だった。新規顧客は取らず、信用力のある取引先にしか商品を卸さない。それでも26億円を売り上げ、変革など必要ないほど高い収益性を確保していた。
「でも、そんな状態がずっと続くはずはないと思っていました。当時は正確な在庫数が分からないほど販売管理があいまいでしたし、経営の透明性も計画性も不十分でした」。そこで中島社長は1年間かけ、販売管理システムを導入し、仕事を標準化。業務をすべて洗い出して取捨選択を行った。
「例えば産業向けの事業であっても、環境関連とポンプや配管ではやっている仕事が違います。それらを別々の部門に振り分け。また、営業社員が行っていた商品の配達を廃止し、物流部門に移行したり、発注業務の役割分担を明確化するなど、営業が営業に集中できる体制を強化しました」。合わせて人事評価制度を導入し、人材育成のベースを整備。またわずかな取扱高しかなかった衛生陶器についても「住設特販部」として事業部化し、キッチン、バスルームなど住宅設備全般にまで広げた。
こうした小さな事業の芽を大きく育てる取り組みなどによって、8つの事業部を構築。それぞれが補完し合いながら成長する「ポートフォリオ経営」を実現することで、業績アップに結びつけた。
今年は中期3カ年計画の2年目。成長事業である住設部門、設備工事部門をさらに伸ばしながら、3年後には100億円を達成したいと中島社長は意気込む。

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