大手住宅会社10グループからなる優良ストック住宅推進協議会は2010年8月27日、発足後2年が経過した現在までの活動状況について報告会を開催した。大手の中古流通への取り組みをレポートする。
優良ストック住宅推進協議会は優良な住宅ストックの流通活性化、市場形成を目的に平成20年に発足。参加企業は旭化成ホームズ、エス・バイ・エル、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナホーム、ミサワホーム、三井ホーム、さらに各社のグループ内の不動産会社が加盟。
具体的な活動は会独自にストックの統一査定ルールを設け、クリアした物件については「スムストック住宅」と認定し、中古市場に流通させること。狙いは中古の買い手にとって安心で、売り手にとって適正に土地・建物が評価されて取引される市場の構築だ。
「スムストック住宅」の認定条件は主に3つで、ひとつは住宅履歴データの整備。2つ目は50年以上にわたって「長期点検・補修制度」があり、計画通り実行されている住宅。さらに、耐震性能が新耐震基準に準じているもの。対象は戸建てで、参加している各企業の自社ストックのみ。
2年間の活動の中で「スムストック」認定査定実績は3885件。成約数は317件だった(ともに2010年7月末時点)。10社の総ストック数は約200万戸で、毎年約1万2000件が流通しているという。しかし現状ではその中の2%しかスムストックとして流通しておらず、査定数を増やすことが今後の課題。査定する人材は特に各不動産会社のスタッフを中心に「スムストック住宅販売士」として育成しており、957名いる。
武田敏郎代表幹事は、現在の中古市場について「買い手にとって不安が大きい」と話す。例えば、購入時に履歴情報データがないため劣化状況が不明であったり、住宅に関する十分な知識がない不動産会社と交渉しなくてはならないケースも少なくない点を指摘する。「ギャンブル性の高い買い物」が流通活性・適正な市場形成の阻害要因というわけだ。また、中古住宅の価格は、土地と建物の合計が表示され、建物は築年数を基準にして決まる。多くの場合、ハードとして十分な品質を持っている家であっても、築20年を超えれば価値はゼロ円になることは珍しくない。優良ストック住宅推進協議会では、建物は建物、土地は土地として分けて査定。さらに建物はインフィル部分とスケルトン部分に分けて査定。さらにキッチンやトイレなどの生活水準が上がる改修をすると資産価値として加算される。実際に流通している例を挙げると、旭化成のへーベルハウスのあるスムストック住宅は、築26年ではあるが建物価格が840万円、土地価格950万円として売り出されている。築年数が20年以上でも価値がゼロにならない点は売主にとって好評だという。
また、買い手にとっても履歴情報の整備、築後50年以上にわたるアフターサポートがつくこと、リフォームが資産になることなどのメリットを感じて購入しているという。将来的な目標は2015年には年間査定目標8000件、年間成約数2000件を目指す。
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