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入浴中の死亡者1万7000人高齢者が過半数

入浴中の死亡者1万7000人 高齢者が過半数

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入浴中の死亡事故は冬に多く発生し、多くは高齢者といわれるが、それを裏付ける結果がこのほど、東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)の調査で明らかになった。
入浴中の死亡事故の対策として、室内の温熱環境を改善する住宅断熱が効果的、と指摘されている。
今後、日本では人口の高齢化が急速に進むことが予想されるため、高齢者を対象とした住宅断熱推進の対策が急務と言えそうだ。

高齢者の入浴中の死亡者数

この調査は、同センターが東日本地区の23都道県の消防本部に協力を依頼して行われた。
その結果、対象地域全体で4252人の高齢者が入浴中に死亡、年齢別にみると、最も多いのが80歳以上の2438人と、全体の半数以上を占めた。
次に多い75~79歳は921人、70〜74歳は563人、65~69歳は330人と、年齢が下がるに従って死亡者数も減少した。

男女別では、男性の総数が2206人で、80歳以上の死亡者数は1146人とやはり過半数を占めた。
女性も総数2046人のうち、80歳以上の死亡者は1292人と過半数を占めていた。
季節については、冬季の1月と12月に集中。最多が1月、続いて12月が多く、ともに700人以上が報告されている。

この数字を基に、全国の高齢者人口における死亡者の推計値を算出。
2011年には約1万人の高齢者が浴室で死亡していることが明らかになった。また、全年齢層に広げた場合、推計で1万1414人が浴室で死亡しているという結果となった。

さらに同センターでは、救急隊によって病院には搬送されない「不搬送」の事例を含めた事例を考慮した。
救急隊が現場に到着した時に明らかに死亡していると認めた場合、医療機関には搬送しない「不搬送」事例も含めると、死亡者総数は全国推計で約1万7000人に上る、という。

入浴中の死亡事故で「溺死」が急増していることが明らかになっている。
その原因は急激な温度差が重大な害をもたらすヒートショックといわれ、入浴中の「脳血管疾患」を引き起こす原因の1つとされている。
また、熱い湯に長く入っていることで起きる熱中症も目立つ。

どちらも、住居内の温熱環境を適切に保つことで防ぐことができると考えられている。
専門家の間では「断熱リフォームによって住居内の温度差をなくす」ことの重要性が指摘されており、断熱改修を高齢者のいる住宅の安全対策として推進する必要がある、と改めて言えそうだ。

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